文献詳細
原著
文献概要
I.はじめに
鼻性頭蓋内合併症は,副鼻腔に感染源があり,それにより頭蓋内に感染をきたすものである。抗菌薬の進歩した現在では発生頻度は低下してきているものの,いったん発症すれば重篤な経過をたどることがあり,死亡率は10%前後とされている1~6)。また,感染源である副鼻腔炎の処置が不十分なまま頭蓋内病変が遷延すると,片麻痺や失語症などの神経学的な後遺症を残すこともある7)。このため早期に診断し,原発巣に対する迅速で適切な治療を行い,その後も頭蓋内病変に対する厳重な経過観察が必要となる。
今回われわれは鼻性頭蓋内合併症の2症例を経験し,後遺症を残すことなく治癒させることができたので,その経過と治療法の概要を述べ,若干の文献的考察を加えて報告する。
鼻性頭蓋内合併症は,副鼻腔に感染源があり,それにより頭蓋内に感染をきたすものである。抗菌薬の進歩した現在では発生頻度は低下してきているものの,いったん発症すれば重篤な経過をたどることがあり,死亡率は10%前後とされている1~6)。また,感染源である副鼻腔炎の処置が不十分なまま頭蓋内病変が遷延すると,片麻痺や失語症などの神経学的な後遺症を残すこともある7)。このため早期に診断し,原発巣に対する迅速で適切な治療を行い,その後も頭蓋内病変に対する厳重な経過観察が必要となる。
今回われわれは鼻性頭蓋内合併症の2症例を経験し,後遺症を残すことなく治癒させることができたので,その経過と治療法の概要を述べ,若干の文献的考察を加えて報告する。
参考文献
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