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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科77巻9号

2005年08月発行

原著

診断に苦慮した上顎明細胞型粘表皮癌の1例

著者: 呉明美1 荒木倫利2 藤山吉更2 西川周治2 櫻井幹士2 服部康人2 河田了2 藤枝重治1 竹中洋2

所属機関: 1福井大学耳鼻咽喉科頭頸部外科 2大阪医科大学耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.637 - P.640

文献概要

I.はじめに

 鼻,副鼻腔に発生する上皮性悪性腫瘍は扁平上皮癌が60%1)~80%2)で,粘表皮癌は約1%といわれている3~5)。一般に上顎粘表皮癌は術前診断が困難なことが多く,本邦では術前診断が扁平上皮癌であったという報告が多い4)。また,粘表皮癌は唾液腺に好発し,唾液腺のない上顎洞内に発生することは稀である。上顎洞に腫瘍が認められる場合,ほとんどが進行して鼻腔内に広がったり,上顎骨を破壊した状態で発見されるため,上顎洞内に原発したものかどうか確定することは困難なことが多い6)

 今回われわれは,上顎粘表皮癌に含まれる稀な明細胞型の1例を経験したので報告する。

参考文献

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3)岩井 大・他:診断困難であった上顎洞粘表皮癌例.耳鼻臨床89:1469-1473,1996
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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