抗アレルギー薬のアレルギー性鼻炎の鼻閉に対する効果と評価法の探索的試験
著者:
遠藤朝彦
,
橋口一弘
,
浜田はつみ
,
藤田雅巳
ページ範囲:P.897 - P.902
I.はじめに
アレルギー性鼻炎は発作性,反復性のくしゃみ,水様性鼻汁,鼻閉を主症状とする鼻疾患である。症状発現には,ハウスダストなどの抗原に対するアレルギー反応が関与し,肥満細胞,リンパ球,好酸球などの顆粒球から遊離される種々のメディエーターが重要な役割を担っている。しかし,発症および重症度には鼻腔形態や鼻粘膜の機能,神経系の機能も関与するため,発症に至るメカニズムはきわめて複雑である。そのため,本疾患に対する薬剤の有効性の評価は必ずしも単純・容易ではない。
これまでは単独な検査手法で的確かつ客観的に評価できる方法がなく,患者の訴えや症状日誌の記載内容から症状をスコア化し,そのスコアから評価せざるをえなかった。しかしながら,これらは患者の主観的評価であり,客観性に乏しいことは否めない。とりわけ鼻閉はくしゃみ,鼻汁と比較してスコア化が困難なために客観的評価が難しく,より客観的で的確な評価法の開発が望まれている。
通年性アレルギー性鼻炎における鼻閉では,鼻腔抵抗の増加に伴い吸気障害を訴える患者が多いため,治療薬剤の有効性の評価には,吸気障害を定量的に捉えることが重要と考えられる。今回,われわれはハウスダストによる鼻粘膜誘発テスト陽性者を対象に,塩酸フェキソフェナジン,塩酸オロパタジンおよびプラセボを用いた3群7日間投与による比較試験を盲検下で実施し,薬剤の影響を鼻粘膜誘発テスト後の鼻吸気流量の変化を用いて検討したので,その成績を報告する。