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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科78巻11号

2006年10月発行

文献概要

原著

一側声帯麻痺をきたしたKennedy-Alter-Sung症候群の1症例とその筋電図所見

著者: 中村毅1 三枝英人1 愛野威一郎2 松岡智治3 新美成二4 八木聰明1

所属機関: 1日本医科大学耳鼻咽喉科学教室 2東京臨海病院耳鼻咽喉科 3高島平のど・はな・みみクリニック 4国際医療福祉大学言語聴覚障害学科

ページ範囲:P.887 - P.890

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I.はじめに

 Kennedy-Alter-Sung症候群(球脊髄性筋萎縮症:以下,KAS)は,30~50歳頃に発症し,緩徐に進行する伴性劣性遺伝の下位運動ニューロン疾患である1)。アンドロゲン受容体遺伝子第1エクソン内のCAGリピートの異常伸張がその原因であるとされている1)。その臨床的特徴は左右対称性に,かつ,びまん性に近位筋優位の筋萎縮が進行するというもので,ほかにアンドロゲン受容体遺伝子異常に伴う女性化乳房や睾丸萎縮2),陰萎3),無精子症3)といった内分泌系の症候が合併する4)。しかし,ときに左右非対称性に症候が出現する場合のあることが知られている5~8)。今回,われわれはKASによると考えられた一側声帯麻痺症例を経験したので報告する。

参考文献

1)Kennedy WR, et al:Progressive proximal spinal and bulbar muscular atrophy of late onset. Neurol 18:671-680, 1968
2)調 漸・他:高齢発症のKennedy-Alter-Sung症候群と思われる1症例.社会保険医学雑誌30:53-55,1990
3)松浦英治・他:女性化乳房をみとめ,常染色体優性遺伝が考えられた球脊髄性筋萎縮症の一家系.臨床神経39:1135-1137,1999
4)阿部康二:運動ニューロン病の分子医学.現代医療32:2339-2343,2000
5)佐藤真奈美・他:Thyrotropin releasing hormone(TRH)により四肢筋力の改善をみた球脊髄性筋萎縮症(Kennedy-Alter-Sung type)の1症例.東京女子医大雑誌59:769-772,1989
6)原田俊英・他:外眼筋麻痺を伴ったKennedy-Alter-Sung症候群の1例―Fluoxymesteroneの効果.脳神経41:143-148,1989
7)鴨川賢二・他:非対称性の筋萎縮,筋力低下をきたしたKennedy-Alter-Sung病の1例.臨床神経44:580,2004
8)服部 健・他:心筋病変を合併したKennedy-Alter-Sung症候群の1例.臨床神経35:1246-1249,1995
9)Tanaka F, et al:Founder effect in spinal and bulbar muscular atrophy(SBMA). Hum Mol Genet 5:1253-1257, 1996
10)勝岡宏之・他:Kennedy-Alter-Sung症候群患者における振戦の解析―長期経過と塩酸プロプラノロールの効果.臨床脳波41:602-606,1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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