耳鼻咽喉科・頭頸部外科78巻11号

2006年10月発行

原著

頸部腫瘤を初発症状とした小児咽後膿瘍の1例

著者： 上田大¹ 上野たまき² 石割康平²

所属機関： ¹綾部市医療公社綾部市立病院耳鼻咽喉科 ²綾部市医療公社綾部市立病院小児科

ページ範囲：P.891 - P.895

文献概要

I．はじめに

　咽後膿瘍は咽頭後壁と椎体前面の咽頭後間隙に形成される膿瘍である。抗菌薬の早期使用により1960年代以降は比較的稀な疾患となっているが，診断が遅れると呼吸困難や縦隔内進展により致命的になりかねない疾患の1つである。今回，われわれは頸部腫瘤を初発症状とした小児咽後膿瘍の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。

参考文献

1）谷川　譲：咽後膿瘍．小児科診療56：93-96，1993

2）坂本　修・他：頸部腫瘤で気づかれた咽後膿瘍の1か月女児例．小児科診療57：1532-1534，1994

3）尾尻博也：化膿性咽頭後リンパ節炎及び咽後膿瘍の画像所見と臨床．耳展47：328-330，2004

4）Coulthard M, et al：Retropharyngeal abscess. Arch Dis Child 66：1227-1230, 1991

5）上田　大・他：小児の頸部膿瘍5症例．耳喉頭頸73：201-205，2002

6）渡邊哲生・他：咽後膿瘍6症例の検討．耳鼻臨床92：393-400，1999

7）Owens OT, et al：Recurrent retropharyngeal abscess. Arch Otolaryngol 110：337-338, 1984

8）山崎徳和・他：咽後膿瘍切開術・扁桃周囲膿瘍切開術．耳喉頭頸74：108-112，2002

9）寺尾恭一・他：小児咽後膿瘍の一例．小児耳20：67-71，2002

10）Harries PG：Retropharyngeal abscess and acute torticollis. J Layngol Oto 111：1183-1185, 1997

11）北村達也・他：最近経験した咽後膿瘍症例の検討．耳展29：41-45，1986