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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科78巻12号

2006年11月発行

原著

頸部膿瘍を併発した抗甲状腺薬による無顆粒球症の1例

著者: 中村哲1 石田良治1 福家智仁1 富岡利文1 山田弘之1

所属機関: 1山田赤十字病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.955 - P.958

文献概要

I.はじめに

 バセドウ病に対する治療には,薬物療法,手術,アイソトープ治療があるが,わが国では,初回治療に抗甲状腺薬による薬物治療が試みられることが多い。抗甲状腺薬による最も注意すべき副作用の1つに無顆粒球症がある。無顆粒球症を発症した場合,抗甲状腺薬の再投与は危険であり,無顆粒球症に対する治療の後,手術またはアイソトープ治療のいずれかを行うことになる。今回われわれは,頸部膿瘍を併発した無顆粒球症の治療後,無機ヨード,βブロッカー,ステロイドホルモンを用いて甲状腺機能をコントロールしたうえで,甲状腺全摘術を行った症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。

参考文献

1)Cooper DS:Antithyroid drugs. N Engl J Med 311:1353-1362, 1984
2)百渓尚子・他:甲状腺剤の使い方と限界.Medical Practice 7:712-720,1990
3)島岡祐規・他:23年後のメルカゾール再投与により無顆粒球症を発症したバセドウ病の1例.総合臨牀47:3240-3242,1998
4)中野 優・他:無顆粒球症.内科学第六版.朝倉書店,東京,1995,pp1745-1747
5)加藤慶子・他:抗甲状腺剤内服事故中止を繰り返したバセドウ病患者において無顆粒球症を発症し重症化した1症例および当科において無顆粒球症をきたした症例の臨床的特徴について.内分泌・糖尿病科11:613-618,2000
6)寺田哲也・他:無顆粒球症を発症したバセドウ病の手術経験.耳鼻臨床93:575-580,2000
7)久高 学・他:甲状腺剤の再投与で無顆粒球症をきたしたバセドウ病の1手術例.外科63:251-254,2001
8)山田弘之・他:当科におけるバセドウ病治療の現況.日気食会報54:202-207,2003
9)松塚文夫・他:甲状腺機能亢進症・低下症の治療方針.ENTONI 31:1-5,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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