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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科78巻12号

2006年11月発行

シリーズ DPCに対応したクリニカルパスの実際

⑨人工内耳埋め込み術

著者: 河野淳1 萩原晃1 山口太郎1 坂本典子2 鈴木衞1

所属機関: 1東京医科大学耳鼻咽喉科 2東京医科大学病院13階西病棟

ページ範囲:P.984 - P.992

文献概要

Ⅰ はじめに

 昨今の医療状況の変化には著しいものがあり,医療費の適正などを目的に診断群分類(diagnosis procedure combination:DPC)1)による包括的診療報酬制度が導入され,多くの病院に広がっている。人工内耳埋め込み術は高度難聴者への治療法として確立された治療法であり,日本全国で約90施設,年間400~500例の手術がなされている2)。人工内耳埋め込み術は,一般的な耳科手術である鼓室形成術に比べて特に難しいということはないが,内耳を開窓するという意味で特殊といえる3)。世界には大きい3つのメーカーがあり,時代の経過に伴い機種も進歩しており,しばしば手術方法が変化して機種による多少の差異はあるもののその概要は基本的に同じである。その詳細は手術書3)を参考にしていただくとして,本手術においては術後経過や注意点がはっきりしているので,クリニカルパス(以下,パスと略す)の導入に当たっては比較的施行しやすいと思われる。

 われわれの病院では,一時期鼻科手術, へん桃手術においてパスを使用した経験があるが,比較的バリアンスが多いため,かえって現場での指示出しが多くなり現在パスは使用していない。この点,耳科手術,特に人工内耳埋め込み術においては,医療内容の明確化,医療の標準化,業務の効率化,医療の質の向上などを目的としたパスの導入4)は,バリアンスが少なく比較的容易と考えられ,症例を通した臨床医,現場サイドの立場からここに紹介する。

参考文献

1)松田晋哉:DPCと病院マネジメント.じほう,東京,2005,pp2-19
2)河野 淳:幼小児の人工内耳.小児人工内耳の現状.JOHNS 16:227-231,2000
3)河野 淳:小児耳鼻咽喉科疾患―内耳・人工内耳.耳鼻咽喉科・頭頸部外科―処置・手術シリーズNo. 2,高橋 姿(編).メジカルビュー社,東京,2002,pp73-80
4)深谷 卓:クリニカルパス―なぜ医療に必要とされるのか.耳喉頭頸73:257-259,2001
5)加藤朗夫・他:人工内耳手術の合併症.耳鼻臨床90:1323-1327,1997
6)小西敏郎・他:クリニカルパス導入・作成の実際―医師の立場から.医師とクリニカルパス―臨床各科の実際例.医学書院,東京,2002,pp7-12
7)小松秀樹:医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か.朝日新聞社,東京,2006
8)李 啓充:市場原理に揺れるアメリカの医療.医学書院,東京,1998,pp139-164

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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