文献詳細
特集 耳鼻咽喉科領域の疼痛
文献概要
Ⅰ.はじめに
頸部痛を主訴に来院する患者は,耳鼻咽喉科領域にとどまらず,整形外科,脳外科,内科などさまざまな領域の疾患を含む。われわれ耳鼻咽喉科医は,関連する領域をふまえて診療に当たらなければならない。頸部は,大きく分けて前頸部と後頸部に分けられる。前頸部は,咽喉頭疾患,唾液腺疾患,気管・食道疾患,甲状腺疾患など耳鼻咽喉科領域が多い。一方,後頸部は,頸椎症,脊椎疾患など,整形外科・脳外科領域疾患が多い。
診療においては,病歴の聴取,視診,触診が基本であり,さらに内視鏡,およびCT,MRなどの画像診断,超音波などを駆使して行う。病歴の聴取については,痛みの発生時期,範囲のほか,嚥下痛,放散痛や嚥下困難嗄声の有無なども確認する。視診では,腫脹や皮膚の発赤,喉頭の変位の有無を確認する。触診では,患者の前後から行うことが有効である。甲状腺部の触診は,患者にカラ嚥下をさせて行うのがよい。胸鎖乳突筋の裏面も十分に行い,痛みを訴える部位から離れたところから触診する。本稿では,耳鼻咽喉科で多く用いられている頸部三角別(図1)に代表的疾患の診断・治療を紹介する。
頸部痛を主訴に来院する患者は,耳鼻咽喉科領域にとどまらず,整形外科,脳外科,内科などさまざまな領域の疾患を含む。われわれ耳鼻咽喉科医は,関連する領域をふまえて診療に当たらなければならない。頸部は,大きく分けて前頸部と後頸部に分けられる。前頸部は,咽喉頭疾患,唾液腺疾患,気管・食道疾患,甲状腺疾患など耳鼻咽喉科領域が多い。一方,後頸部は,頸椎症,脊椎疾患など,整形外科・脳外科領域疾患が多い。
診療においては,病歴の聴取,視診,触診が基本であり,さらに内視鏡,およびCT,MRなどの画像診断,超音波などを駆使して行う。病歴の聴取については,痛みの発生時期,範囲のほか,嚥下痛,放散痛や嚥下困難嗄声の有無なども確認する。視診では,腫脹や皮膚の発赤,喉頭の変位の有無を確認する。触診では,患者の前後から行うことが有効である。甲状腺部の触診は,患者にカラ嚥下をさせて行うのがよい。胸鎖乳突筋の裏面も十分に行い,痛みを訴える部位から離れたところから触診する。本稿では,耳鼻咽喉科で多く用いられている頸部三角別(図1)に代表的疾患の診断・治療を紹介する。
参考文献
1)大野健次・他:失神発作を伴った特発性上喉頭神経痛の1例.ペインクリニック11:548-552,1990
2)寺山和雄・他:頸部の痛み.整形外科痛みへのアプローチ,河合伸也(編).南江堂,東京,1999,p50
3)寺山和雄・他:頸部の痛み.整形外科痛みへのアプローチ,河合伸也(編).南江堂,東京,1999,p105
4)大瀬戸清重:ペインクリニック診断・治療ガイド―痛みからの解放とその応用.日本医事新報社,東京,2005
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