文献詳細
特集 突発性難聴の今
文献概要
Ⅰ.はじめに
突発性難聴という疾患概念がわが国に紹介されて約50年が経過した。50年という節目を迎えて改めてこの疾患の問題点について考えてみるのは意義あることと思う。突発性難聴の診断については,1973年に旧厚生省研究班の手で「診断の手引き」が定められている(表1)。この後,わが国で発表された突発性難聴に関する調査では,この「診断の手引き」に基づいて診断された症例を対象とした。多くの施設の調査結果を比較検討する場合,その研究対象が同一の基準によって選別された症例であることは必須の条件である。「診断の手引き」が定められたことの意義は大きいといえる。
それでは,この「診断の手引き」に基づいて診断すれば,突発性難聴の診断は容易であるかというと決してそうではない。私は日常の臨床のなかで突発性難聴の正確な診断は大変難しいと思っている。この論文では,開業後に経験した突発性難聴に関係する印象深い症例を紹介し,突発性難聴の診断について,今感じていることを述べたいと思う。
突発性難聴という疾患概念がわが国に紹介されて約50年が経過した。50年という節目を迎えて改めてこの疾患の問題点について考えてみるのは意義あることと思う。突発性難聴の診断については,1973年に旧厚生省研究班の手で「診断の手引き」が定められている(表1)。この後,わが国で発表された突発性難聴に関する調査では,この「診断の手引き」に基づいて診断された症例を対象とした。多くの施設の調査結果を比較検討する場合,その研究対象が同一の基準によって選別された症例であることは必須の条件である。「診断の手引き」が定められたことの意義は大きいといえる。
それでは,この「診断の手引き」に基づいて診断すれば,突発性難聴の診断は容易であるかというと決してそうではない。私は日常の臨床のなかで突発性難聴の正確な診断は大変難しいと思っている。この論文では,開業後に経験した突発性難聴に関係する印象深い症例を紹介し,突発性難聴の診断について,今感じていることを述べたいと思う。
参考文献
1)立木 孝:突発性難聴とはどんな病気か.EBMからみた突発性難聴.金原出版,東京,2005,pp9-11,47-51,60-61
2)柳田則之:突発性難聴の正しい取り扱い.金原出版,東京,1997,pp17-18,24-25
3)立木 孝:低音型突発難聴―その病態と病因.耳喉展望36:677-684,1993
4)朝隈真一郎:耳鼻咽喉科の対応,治療.心因性難聴,矢野 純・他(編).中山書店,東京,2005,pp144-1516
5)熊田千恵子:突発性難聴.心因性難聴,矢野 純・他(編).中山書店,東京,2005,pp122-129
掲載誌情報