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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科78巻3号

2006年03月発行

文献概要

特集 突発性難聴の今

5.突発性難聴と平衡機能

著者: 馬場俊吉1

所属機関: 1日本医科大学付属千葉北総病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.219 - P.224

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Ⅰ.はじめに

 突発性難聴の予後因子として,発症から治療までの期間,聴力障害の程度,聴力型,年齢,めまいの有無が知られている。特に,前庭症状と予後との関係は古くからいわれており,一般的にめまいを伴う症例の聴力回復は悪いとされている。われわれの検討でも,自覚的にめまいの訴えのあった症例と,なかった症例との間に固定時聴力レベルに差が認められ,めまいを自覚しなかった症例のほうが予後良好であった。また,自発眼振の有無と予後の関係においても眼振のない症例のほうが固定時聴力レベルは良好であった。一方,Lairdや泰地らは,めまいの有無と聴力損失との間には高い相関関係があり,聴力損失を考慮するとめまいの有無が聴力予後に与える影響は少ないと報告している。われわれの検討でも前庭障害の有無と初診時聴力レベルとの間には高い相関関係が示されていた。また,前庭障害の有無と固定時聴力レベルとの間には有意差が認められるが,改善度には有意差を認めていない。このことは,泰地が述べているようにめまいと聴力損失を独立した変数として扱うことの危険性を示唆している。

 突発性難聴のめまいの自覚と聴力予後との関係はよく述べたれている。しかし,突発性難聴と平衡機能検査を述べた報告は少ない。今回,われわれの施設で突発性難聴と診断し,治療および平衡機能検査を施行した症例を中心に報告する。

参考文献

1)馬場俊吉・他:血流改善剤による突発性難聴の治療成績.耳鼻37:1068-1072,1991
2)馬場俊吉・他:突発性難聴予後の検討.耳喉頭頸64:277-281,1992
3)Laird N, et al:Predicting recovery from idiopathic sudden hearing loss. Am J Otolaryngol 4:161-164, 1983
4)泰地秀信・他:突発性難聴の予後の回帰分析.日耳鼻91:1023-1030,1988
5)三宅 弘・他:厚生省特定疾患突発性難聴調査研究班.昭和48,49,50年度研究報告書
6)八木聰明・他:突発性難聴新鮮例の検討.耳喉52:205-211,1980
7)星野知之:急性高度難聴調査研究班.平成10年度研究業績報告書
8)中島 務・他:突発性難聴の重症度分類.Audiology Japan 42:351-352,1999
9)星野知之:急性高度難聴調査研究班.平成11年度研究業績報告書
10)江上徹也・他:突発性難聴におけるめまいの残留と再発.耳鼻22:181-187,1976
11)高橋正紘・他:突発性難聴の予後と平衡機能検査所見―自発眼振,減衰振子様回転検査,視標追跡検査所見を中心に.耳鼻臨床67:541-555,1974

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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