文献詳細
文献概要
シリーズ DPCに対応したクリニカルパスの実際
①突発性難聴
著者: 栗田昭宏1 小川郁1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.249 - P.255
文献購入ページに移動Ⅰ はじめに
クリニカルパス(clinical pathway:以下,パス)とは,元々は製造業における効率化,標準化を目的とした経営工学上の概念であったが,1980年代より医療の効率化を目指してアメリカで導入された。その背景には,アメリカで医療費節減の政策としてDRG/PPS(diagnosis related group/prospective payment system:診断群別見込み支払い方法)が1983年より導入されことがあり,パス導入の最大の目的は医療のコストコントロールであった。本邦では2003年から特定機能病院において,診療報酬が従来の出来高算定からDPC(diagnosis procedure combination:診断群分類構築)と呼ばれる疾患ごとの分類に基づく定額支払い制に代わり,ますます医療の効率化が求められるようになった1,2)。
また,EBM(evidence based medicine)に基づく診療ガイドライン作成,インフォームド・コンセントなど医療の質,患者の権利が,近年,強く問われるようになり,医療サービスの向上の手段としてもパスを導入する医療機関が増えてきている。しかし,原因不明であることが診断の根拠となる突発性難聴は症候群的な疾患概念であり,特効的な治療法が確立されていない,EBMに基づく診療ガイドラインもいまだ作成されていないなど,臨床的にはさまざまな問題を抱えた疾患である。
本稿では,突発性難聴に対するパスに関して,主に医療経済的側面から考察したい3)。
クリニカルパス(clinical pathway:以下,パス)とは,元々は製造業における効率化,標準化を目的とした経営工学上の概念であったが,1980年代より医療の効率化を目指してアメリカで導入された。その背景には,アメリカで医療費節減の政策としてDRG/PPS(diagnosis related group/prospective payment system:診断群別見込み支払い方法)が1983年より導入されことがあり,パス導入の最大の目的は医療のコストコントロールであった。本邦では2003年から特定機能病院において,診療報酬が従来の出来高算定からDPC(diagnosis procedure combination:診断群分類構築)と呼ばれる疾患ごとの分類に基づく定額支払い制に代わり,ますます医療の効率化が求められるようになった1,2)。
また,EBM(evidence based medicine)に基づく診療ガイドライン作成,インフォームド・コンセントなど医療の質,患者の権利が,近年,強く問われるようになり,医療サービスの向上の手段としてもパスを導入する医療機関が増えてきている。しかし,原因不明であることが診断の根拠となる突発性難聴は症候群的な疾患概念であり,特効的な治療法が確立されていない,EBMに基づく診療ガイドラインもいまだ作成されていないなど,臨床的にはさまざまな問題を抱えた疾患である。
本稿では,突発性難聴に対するパスに関して,主に医療経済的側面から考察したい3)。
参考文献
1)池田俊也:米国の医療保険制度DRG/PPSとマネジドケアを中心に.脳神経外科ジャーナル12:75-80,2003
2)池田俊也:クリティカルパス最近の進歩.DPCとクリティカルパスDPC対応型クリティカルパスの5つの条件.医療マネジメント学会雑誌5:358-360,2004
3)小川 郁:エビデンスからみた突発性難聴の治療.耳喉頭頸75:849-860,2002
4)塩谷彰浩・他:耳鼻咽喉科・頭頸部外科手術とクリニカルパス喉頭微細手術.JOHNS 20:1133-1137,2004
5)冨田俊樹・他:特定機能病院における包括評価が口腔・中咽頭癌診療に与える影響.平成15年度版の検討.耳鼻展47:322-327,2004
6)冨田俊樹・他:頭頸部癌術後の局所合併症と包括医療制度.頭頸部癌13:357-362,2005
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