耳鼻咽喉科・頭頸部外科78巻4号

2006年04月発行

特集 甲状腺疾患の診断と治療

4．甲状腺悪性腫瘍の手術

著者： 小川徹也¹ 長谷川泰久¹

所属機関： ¹愛知県がんセンター中央病院頭頸部外科

ページ範囲：P.299 - P.303

文献概要

Ⅰ．はじめに

　甲状腺悪性腫瘍は高分化型癌乳頭癌や濾胞癌の頻度が高く，なかでも乳頭癌が大部分を占める。高分化癌の予後はきわめてよい。治療方法としては，手術治療が第1選択である。

　われわれの施設では，低リスクの甲状腺分化癌症例で，腫瘍が片側葉にのみ存在し頸部リンパ節転移がみられない症例に対しては，以下に述べる甲状腺葉峡切除術，気管周囲郭清術を基本術式としている。しかし腫瘍が両葉に存在する症例や，遠隔転移などがみられ術後¹³¹I内照射治療を予定している症例などでは，甲状腺全摘術，両側気管周囲郭清術を施行している。

　今回，甲状腺悪性腫瘍の手術治療について述べるが，頻度の高い甲状腺分化癌の手術方法について基本術式である甲状腺葉峡切除術，気管周囲郭清術を中心に述べる。

参考文献

1）長谷川泰久：甲状腺・上皮小体―上皮小体の見つけ方，残し方，移植の仕方．新図説耳鼻咽喉科頭頸部外科講座第5巻．頭頸部腫瘍．メジカルビュー社，東京，2001，pp242-245

2）小川徹也・他：甲状腺，耳下腺手術のクリニカルパスの意義．耳鼻臨床97：555-561，2004

3）高見　博・他：甲状腺癌．手術59：953-957，2005

4）高見　博：甲状腺癌に対する標準手術．外科治療90：636-642，2004

5）飯原雅季・他：甲状腺癌の標準手術．外科治療93：158-164，2005

6）Shaha AR, et al：Prognostic factors and risk group analysis in follicular carcinoma of the thyroid. Surgery 118：1131-1136, 1995

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9）菊森豊根・他：甲状腺癌気管浸潤に対する気管合併甲状腺切除術．手術58：479-485，2004

10）新宮聖士・他：気管浸潤甲状腺癌術後広範な気管皮膚瘻に対するオブチュレーターの作製．手術58：486-495，2004

11）宮章　博・他：進行甲状腺癌に対する拡大手術．外科治療90：643-649，2005