文献詳細
シリーズ DPCに対応したクリニカルパスの実際
文献概要
Ⅰ はじめに
クリニカルパス(以下,CP)は,医療の質の向上を目的とした「医療の介入内容を計画化,書式化し,医療の評価と改善を行うためのシステム」とされる1)。医療をそれに携わるチーム全体での討議のうえで計画,立案し,さらには患者自身もこの実践に参加するシステムである。これら医療計画の立案,実施,評価,改善という一連のシステムが,医療の質の向上,効率化,安全性の確保,ひいては在院日数の短縮や医療費の効率的使用に有用であることは,近年わが国でも広く認識されるようになっており,各医療機関において多くの疾患の治療にCPが導入され,実施されるようになってきた。特発性顔面神経麻痺(以下,Bell麻痺)やRamsay Hunt症候群(以下,Hunt症候群)などの末梢性顔面神経麻痺の治療に関しても,これらの病因,病態に関する研究の進歩によりその標準化が進み,CPの立案,運用は比較的スムーズに導入が可能となってきている。
本稿では,当科におけるBell麻痺,およびHunt症候群の治療方針につき述べた後に,当科にて実際に治療に用いているCPを紹介し,運用に当たっての留意点などについても言及する。
クリニカルパス(以下,CP)は,医療の質の向上を目的とした「医療の介入内容を計画化,書式化し,医療の評価と改善を行うためのシステム」とされる1)。医療をそれに携わるチーム全体での討議のうえで計画,立案し,さらには患者自身もこの実践に参加するシステムである。これら医療計画の立案,実施,評価,改善という一連のシステムが,医療の質の向上,効率化,安全性の確保,ひいては在院日数の短縮や医療費の効率的使用に有用であることは,近年わが国でも広く認識されるようになっており,各医療機関において多くの疾患の治療にCPが導入され,実施されるようになってきた。特発性顔面神経麻痺(以下,Bell麻痺)やRamsay Hunt症候群(以下,Hunt症候群)などの末梢性顔面神経麻痺の治療に関しても,これらの病因,病態に関する研究の進歩によりその標準化が進み,CPの立案,運用は比較的スムーズに導入が可能となってきている。
本稿では,当科におけるBell麻痺,およびHunt症候群の治療方針につき述べた後に,当科にて実際に治療に用いているCPを紹介し,運用に当たっての留意点などについても言及する。
参考文献
1)松島照彦・他:クリニカルパスとは.MB ENT 37:1-7,2004
2)稲村博雄・他:ベル麻痺及びハント症候群に対するアシクロビル併用ステロイド大量療法の治療効果.Facial N Res Jpn 21:30-32,2001
3)羽藤直人・他:ベル麻痺に対するアシクロビル―プレドニゾロン併用内服療法.日耳鼻103:133-138,2000
4)Peitersen E:The spontaneous course of 2,500 peripheral facial nerve palsies of different etiologies. Acta Otolaryngol(Stockh)Suppl 549:4-30, 2002
5)小松崎篤・他:末梢性顔面神経麻痺の治療効果判定についての申し合わせ事項試案.Facial N Res Jpn 15:227-230,1995
6)稲村博雄・他:当科における特発性顔面神経麻痺の保存的治療法―ステロイド大量投与法の効果について.日耳鼻95:172-177,1992
7)甲州秀浩・他:ベル麻痺に対するステロイド単独療法とバラシクロビル併用療法による治療効果について.Facial N Res Jpn 24:99-101,2004
8)稲村博雄・他:ベル麻痺及びハント症候群に対するアシクロビル併用ステロイド大量療法の治療効果.Facial N Res Jpn 21:30-32,2001
9)青柳 優:顔面神経麻痺の予後診断.JOHNS 16:324-33,2000
10)青柳 優:重症ベル麻痺に手術は必要か?―保存的治療の立場から.JOHNS 21:1683-1686,2005
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