文献詳細
症候群事典 A
文献概要
定義・概念
小脳あるいは下部脳幹が大後頭孔を通って脊柱管内に嵌入した奇形であり,4型に分類される1)。すなわち,Ⅰ型は小脳扁桃および小脳下葉内側部が下方に延長し,脊柱管に入り込んで延髄を覆っているもの,Ⅱ型は小脳扁桃と虫部下部,橋,延髄および第四脳室が下方に延長して脊柱管に入り込んでいるもの,Ⅲ型は頸椎二分脊椎があり,ここに水頭症を伴った小脳全体が脱出しているもの,Ⅳ型は小脳形成不全のみで,小脳の脊柱管への下方偏位がないものである。
病因・病態生理・疫学
発生機序は明確にされていない。牽引説,水頭症説や発生障害説がある1,2)。Ⅰ型の50~70%に脊髄空洞症がみられるほか,扁平頭蓋底,軟骨形成異常,Klippel-Feil症候群,水頭症などを伴うことがある。Ⅱ型の90%に水頭症,80~90%に髄膜脊髄瘤がみられるほか,裂孔頭蓋,大後頭孔拡大,大脳鎌形成不全,延髄・頸髄移行部の折れ曲がり,中脳水道の狭窄などが伴うこともある。Ⅲ型の合併異常は,Ⅱ型とほぼ同様である。Ⅳ型に髄膜脊髄瘤は伴わない。
小脳あるいは下部脳幹が大後頭孔を通って脊柱管内に嵌入した奇形であり,4型に分類される1)。すなわち,Ⅰ型は小脳扁桃および小脳下葉内側部が下方に延長し,脊柱管に入り込んで延髄を覆っているもの,Ⅱ型は小脳扁桃と虫部下部,橋,延髄および第四脳室が下方に延長して脊柱管に入り込んでいるもの,Ⅲ型は頸椎二分脊椎があり,ここに水頭症を伴った小脳全体が脱出しているもの,Ⅳ型は小脳形成不全のみで,小脳の脊柱管への下方偏位がないものである。
病因・病態生理・疫学
発生機序は明確にされていない。牽引説,水頭症説や発生障害説がある1,2)。Ⅰ型の50~70%に脊髄空洞症がみられるほか,扁平頭蓋底,軟骨形成異常,Klippel-Feil症候群,水頭症などを伴うことがある。Ⅱ型の90%に水頭症,80~90%に髄膜脊髄瘤がみられるほか,裂孔頭蓋,大後頭孔拡大,大脳鎌形成不全,延髄・頸髄移行部の折れ曲がり,中脳水道の狭窄などが伴うこともある。Ⅲ型の合併異常は,Ⅱ型とほぼ同様である。Ⅳ型に髄膜脊髄瘤は伴わない。
参考文献
1)Stevenson KL:Chiari TypeⅡ malformation:Past, present, and future. Neurosurg Focus 16:E5, 2004
2)郭 隆燦(編):視て学ぶ脳神経外科学.診断と治療社,東京,1990,pp598-600
3)根来民子・他:乳児水頭症の疫学脳と発達26:211-215,1994
掲載誌情報