文献詳細
症候群事典 H
文献概要
定義・概念
Holoprosencephaly(以下,HPE)とは,胎生3週における前脊索中胚葉の発生異常により大脳半球や側脳室へ発達するべき胎児期の前脳(embryonic forebrain)がまったく分割しないか,不十分なために顔面,脳の形態および機能異常を生じる先天性異常である。通常,(1)lobar,(2)semi lobar,(3)alobarの3つのタイプに分類される1)。
病因・病態・疫学
HPEの発生頻度は,胎生期の1/250,出生児の1/16,000といわれており,病因として,染色体異常,遺伝子異常,母体の糖尿病や低コレステロール血症,サイトメガロウイルス感染などが示唆されている2)。非症候性HPEの家族発症例は不完全浸透を示す常染色体優性遺伝と考えられているが,68%が散発例ともいわれており,家族内の再発危険率は13~14%とされる。Trisomy 13やtrisomy 18などが関与するとの報告があるほか,責任遺伝子としてSIX3(2p21),SHH(7q36),TGIF(18p11.3),ZIC(13q32)などが報告されている。また,Meckel's syndromeやoral-facial-digital syndrome,Pallister-Hall syndrome,Smith-Lemli-Opitz syndromeなどに伴う多重奇形の1つとして発症することもある。
Holoprosencephaly(以下,HPE)とは,胎生3週における前脊索中胚葉の発生異常により大脳半球や側脳室へ発達するべき胎児期の前脳(embryonic forebrain)がまったく分割しないか,不十分なために顔面,脳の形態および機能異常を生じる先天性異常である。通常,(1)lobar,(2)semi lobar,(3)alobarの3つのタイプに分類される1)。
病因・病態・疫学
HPEの発生頻度は,胎生期の1/250,出生児の1/16,000といわれており,病因として,染色体異常,遺伝子異常,母体の糖尿病や低コレステロール血症,サイトメガロウイルス感染などが示唆されている2)。非症候性HPEの家族発症例は不完全浸透を示す常染色体優性遺伝と考えられているが,68%が散発例ともいわれており,家族内の再発危険率は13~14%とされる。Trisomy 13やtrisomy 18などが関与するとの報告があるほか,責任遺伝子としてSIX3(2p21),SHH(7q36),TGIF(18p11.3),ZIC(13q32)などが報告されている。また,Meckel's syndromeやoral-facial-digital syndrome,Pallister-Hall syndrome,Smith-Lemli-Opitz syndromeなどに伴う多重奇形の1つとして発症することもある。
参考文献
1)Thomas NA, et al:Holoprosencephaly. J Postgrad Med 49:173-174, 2003
2)加藤るみこ:holoprosencephaly.日本臨床別冊先天異常症候群(上巻):818-819,2001
掲載誌情報