文献詳細
症候群事典 H
Hutchinson-Gilford(progeria)syndrome(早老症)
著者: 井上泰宏1
所属機関: 1東京電力病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.139 - P.139
文献概要
Hutchinson-Gilford(progeria)syndrome(以下,HGPS)は老化が異常に早期に進行する疾患であり,Hutchinsonが最初に報告し,その後Gilfordの命名によりprogeriaと呼ばれるようになった1,2)。
病因・病態・疫学
米国の報告では800万人に1人(出生児では400万人に1人)の頻度で発症するとされている。男女比は1.5:1と男児に多く,そのうち97%は白色人種といわれる。以前は常染色体劣性遺伝と考えられていたが,ほとんどの症例は散発的で家族内発症が認められていないことなどから,正確な遺伝様式は不明である。
HGPS症例では,尿中ヒアルロン酸濃度が正常の20~30倍であることが知られているが,ヒアルロン酸は筋肉,皮膚,血管壁の維持に必要なグルコサミノグリカンの代謝物であることから,これらの代謝異常が発症に関与する可能性が示唆されている。また,細胞周期を調節するテロメアの活動性の異常や,成長ホルモンの異常が病態に関与する可能性も指摘されている。
参考文献
掲載誌情報