文献詳細
症候群事典 T
tricho-rhino-phalangeal syndrome type I(TRPS type I,毛髪・鼻・指節syndrome 1型)
著者: 星野志織1 飯野ゆき子2
所属機関: 1東京北社会保険病院耳鼻咽喉科 2自治医科大学大宮医療センター耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.277 - P.277
文献概要
細く粗な毛髪,鼻翼低形成による西洋梨状の鼻,短指趾症,低身長などを特徴とする症候群(online mendelian inhertance in man:以下,OMIM190350)。Giedion1)は1966年に,このような症例をtricho(=毛髪)-rhino(=鼻)-phalangeal(=指節骨)syndrome(以下,TRPS,TRPS-typeⅠ)と命名した。1984年にLangerら2)は,これらの特徴のほかに多発性軟骨性外骨腫,精神遅滞,小頭症を合併したものをTRPS-typeⅡ(OMIM150230)(Langer-Giedion syndrome)として確立した。さらにNiikawaら3)やSugio4)らが発表したTRPSは特に著明な短指趾症,高度な低身長があり,かつ精神遅滞のないものでTRPS-type Ⅲ(Sugio-Kajii syndrome)(OMIM190351)と報告された。
疫学・病因・遺伝性
世界では150例を超える報告がある。本邦でも多数の報告があるが,軽症例は未診断の場合もあり,発生頻度は定かでない。遺伝形式は常染色体優性遺伝である。男女比は1:2で女性に多い。一部の症例で疾患遺伝子は8番染色体長腕(8q24.12)に局在するTRPS1遺伝子と証明されている5)。患者の90%でTRPS1遺伝子の変異が同定されている。
参考文献
掲載誌情報