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内視鏡下鼻副鼻腔手術の応用編
著者: 田村学1
所属機関: 1大阪大学医学部耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.361 - P.371
文献購入ページに移動Ⅰ はじめに
内視鏡下鼻副鼻腔手術は,1985年頃にKennedy1)とStammberger2)により発表されて以来,またたく間に普及し,副鼻腔炎に対する外科的治療の主流となっている。上顎洞,前頭洞の開口部と鼻腔の交通路によって形成される部位をostiomeatal complexと呼ぶが,内視鏡下鼻副鼻腔手術はこのostiomeatal complexの病変を除去することにより副鼻腔と鼻腔の交通路を確立でき,副鼻腔における換気と排泄が可能となることによって副鼻腔炎は治癒するという概念に基づいて普及してきた。CaldwellやLuc以来,約100年,副鼻腔内の粘膜をすべて摘出する副鼻腔根本術を行ってきた耳鼻咽喉科医にとっては画期的な理論で,またたく間に世界中に普及した。当初,内視鏡下鼻副鼻腔手術は副鼻腔炎の治療のために開発され,そして改良されてきたわけだが,今日では内視鏡を用いた鼻副鼻腔手術は低侵襲で深部での手術操作を可能とするという特性を生かして,副鼻腔炎のみならず副鼻腔の周辺組織における疾患にも用いられるようなり,その威力を発揮している。
本稿では,内視鏡の持つ“低侵襲で深部での手術操作が可能”という特性を生かした手術を紹介するため,内視鏡下鼻副鼻腔手術の応用編として表1に示した副鼻腔周辺における内視鏡手術について概説する。
内視鏡下鼻副鼻腔手術は,1985年頃にKennedy1)とStammberger2)により発表されて以来,またたく間に普及し,副鼻腔炎に対する外科的治療の主流となっている。上顎洞,前頭洞の開口部と鼻腔の交通路によって形成される部位をostiomeatal complexと呼ぶが,内視鏡下鼻副鼻腔手術はこのostiomeatal complexの病変を除去することにより副鼻腔と鼻腔の交通路を確立でき,副鼻腔における換気と排泄が可能となることによって副鼻腔炎は治癒するという概念に基づいて普及してきた。CaldwellやLuc以来,約100年,副鼻腔内の粘膜をすべて摘出する副鼻腔根本術を行ってきた耳鼻咽喉科医にとっては画期的な理論で,またたく間に世界中に普及した。当初,内視鏡下鼻副鼻腔手術は副鼻腔炎の治療のために開発され,そして改良されてきたわけだが,今日では内視鏡を用いた鼻副鼻腔手術は低侵襲で深部での手術操作を可能とするという特性を生かして,副鼻腔炎のみならず副鼻腔の周辺組織における疾患にも用いられるようなり,その威力を発揮している。
本稿では,内視鏡の持つ“低侵襲で深部での手術操作が可能”という特性を生かした手術を紹介するため,内視鏡下鼻副鼻腔手術の応用編として表1に示した副鼻腔周辺における内視鏡手術について概説する。
参考文献
1)Kennedy DW, et al:Functional endoscopic sinus surgery. Theory and diagnosis. Arch Otolaryngol 111:576-582, 1985
2)Stammberger H:Endoscopic endonasal surgery-concepts in treatment of recurring rhinosinusitis. Part 1. Anatomic and pathophysiologic considerations. Otolaryngol Head Neck Surg 94:143-147, 1986
3)Meurman O H, et al:A new method for the identification of cerebrospinal fluid leakage. Acta Otolaryngol 87:366-369, 1979
4)Rainer Weber, et al:Management of dural lesions occurring during endonasal sinus surgery. Arch Otolaryngol Head Neck Surg 122:732-736 1996
5)Joo-Heon Yoon, et al:Microscopical surgical management of cerebrospinal fluid rhinorrhoea with free grafts. Rhinology 33:208-211, 1995
6)Tamura M, et al:Endoscopic dacryocysto-rhinostomy using T-sheet. Laryngoscope 113:746-748, 2003
7)Becker BB:Tricompartment model of the lacrimal pump mechanisum. Ophthalmology 92:1139-1145, 1992
8)Ikeda K, et al:Endoscopic endonasal repair of orbital floor fracture. Arch Otolaryngol Head Neck Surg 125:59-63,1999
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