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原著
皮下気腫が進行し“マジック・ボイス”様の音声変化をきたした症例
著者: 今滝修1 富澤恒二2 南波美伸1 角田紘二1
所属機関: 1医療法人樹心会角田病院内科 2医療法人樹心会角田病院看護部
ページ範囲:P.385 - P.387
文献購入ページに移動胸腔穿刺に伴う皮下気腫の合併は比較的頻度は低い。皮下気腫は通常,経過観察のみで治癒し,何らかの治療的介入を必要とすることはほとんどない。広範かつ重度の皮下気腫は,多くは気管もしくは気管支の損傷の際にみられる稀な合併症の1つである1,2)。また気管切開の際には,臨床上問題となるような皮下気腫の頻度は1.4%である3)。経皮的に胸腔内や気道内にチューブ挿入を行い生じた皮下気腫は,チューブを入れ替えるか抜去することで自然に改善し,特別な処置を要することはない。しかし,皮下気腫から縦隔気腫を併発した場合,縦隔内の気泡が気道を圧排し緊急の処置が必要となることが想定される。また,皮下気腫が頭頸部に進展した場合,上気道の粘膜下に貯留した気泡が気道を狭小化し,嗄声や鼻声および音声変化をきたすことが知られている4,5)。
今回われわれは,中心静脈カテーテル挿入に伴う外傷性気胸のために行った胸腔内ドレナージチューブの挿入部から皮下気腫をきたし,ドレナージチューブ抜去後も皮下気腫が進展し音声変化を認めるに至った症例を経験した。これは,皮下気腫が頭頸部に進展した際の気道粘膜下気腫の程度を予測するのに重要な知見であり,稀な合併症として文献的考察を加えて報告する。
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