耳鼻咽喉科・頭頸部外科78巻6号

2006年05月発行

シリーズ DPCに対応したクリニカルパスの実際

③めまい（前庭機能障害）

著者： 鎌田英男¹ 古屋信彦¹

所属機関： ¹群馬大学大学院医学系研究科聴平衡覚外科学

ページ範囲：P.409 - P.414

文献概要

Ⅰ　はじめに

　クリニカルパスはクリティカルパスとも呼ばれ，Zander^1）は「患者が内科的，外科的，精神的な危機から回復したり，状態が安定したりするのを援助するために，特定の時間の枠組みのなかでケアや医療スタッフ，支援部門が必要とする行動をまとめているツール」と述べている。

　現在では，クリニカルパスは「医療チームが患者の通常の臨床経過とケアに関する理解を共有することによる，医療の質を向上するための患者管理システム」であり^2），1つの疾患群で入院での医療介入計画を時系列で記載した医療計画書とその介入に際しての医療内容の質の管理と至適化，医療の効率化を目的とする，評価，改善のシステムである^3）。また，包括医療（以下，DPC）の導入施設ではクリニカルパスを導入することにより在院日数の短縮，医療経済に対する有効性が期待される。

　クリニカルパスは本来，1つの疾患群について，医療介入計画を医療内容（職種）ごとに介入内容と期待される効果（アウトカム）を時系列で表示し，一覧表あるいは日めくり帳形式で記載された総合医療計画書，それに対する医療内容と質の管理，至適化，医療経営の効率化を目的とした，評価，改善のシステムである。このことから，頻度が高くバリアンス（予測される結果と実際の差）が生じにくい複雑でない疾患群がパスの適用に適しているされる。めまい症例ではいろいろな疾患群が含まれているが，初期の対応（診断までの経過）は共通性があると考えられるためにクリニカルパスを作成している。

　DPCのなかでの入院めまい症例に対してのクリニカルパスについて述べる。

参考文献

1）Zander K：Critical and acticipated reconery path；Only the beginning. Nersing Management 25：34-37, 1994

2）県　俊彦：EBMと並ぶ医学界の潮流―クリティカルパス．臨床医25：2215-2220，1999

3）深谷　卓：クリニカルパス―なぜ医療に必要とされるのか．耳喉頭頸73：257-259，2001

4）武田憲昭：めまいの薬物治療におけるEBMをこう考える．医薬ジャーナル37：2668-2671，2001

5）羽柴基之：めまいのクリニカルパス．MB ENT 53：7-13，2005

6）塩見洋作・他：めまいのクリニカルパス．MB ENT 53：14-22，2005

7）伊藤彰紀・他：めまいのクリニカルパス．MB ENT 53：24-29，2005