文献詳細
特集 知っておきたい耳鼻咽喉科疾患の病理
6.甲状腺疾患
著者: 北野博也1 堀江靖2
所属機関: 1鳥取大学医学部感覚運動医学講座耳鼻咽喉・頭頸部外科分野 2鳥取大学医学部附属病院病理部
ページ範囲:P.483 - P.490
文献概要
甲状腺疾患のうち,われわれ頭頸部外科医が主としてかかわるのは甲状腺腫瘍であろう。甲状腺腫瘍を取り扱う基礎となる病理組織分類について,2004年にWHOから新しい分類が発表された(表1)1)。それを受けて,本邦の甲状腺外科研究会は甲状腺取扱い規約を2005年9月に改訂した(表2)2,3)。今回の改訂は国際分類基準との互換性をも念頭に置いたものであり,いくつかの大きな変更点がある。本稿では新しい甲状腺取扱い規約(第6版)での留意すべき点も含め,甲状腺腫瘤の病理学的診断に関して頭頸部外科医が注意すべき点について述べる。
当然のことながら,病理学的に検索するためには組織の採取が必要である。手術時あるいは手術終了後,摘出標本より組織を採取する場合を除いて生検を行う。生検方法には切開して組織を採取する方法や,直接切除する方法,針生検,穿刺吸引細胞診などがある。甲状腺の診断の際には,通常エコーガイド下の穿刺吸引細胞診が行われている。穿刺吸引細胞診が行われるのは,侵襲が比較的小さく安全性が高いことと,診断成績がよいためである。ここで注意すべきことは,甲状腺癌の大多数を占める乳頭癌の診断に際して穿刺細胞吸引診はほぼ満足できるが,乳頭癌についで多い濾胞癌の診断は難しいことをはじめとして,穿刺吸引細胞診の限界を知って行うことである。
まず,甲状腺腫瘤に対する穿刺吸引細胞診の実際を中心に述べる。
参考文献
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