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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科78巻7号

2006年06月発行

文献概要

鏡下咡語

サイクルヒット

著者: 村上泰12

所属機関: 1京都地域医療学際研究所 2京都府立医科大学

ページ範囲:P.493 - P.495

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 2005年の日本シリーズは阪神タイガースの4連敗で,関西に住まう者としては何となく後味の悪い結末であったが,テレビで観戦した限りでは当然の結果であったようにも思われる。10点という大差のせいでそうみえたのかも知れないが,千葉ロッテマリーンズの若い選手達の元気はつらつとしたプレーに対して,タイガースの選手達は皆一様に萎縮してみえた。シーズン中の大事なゲームでは,ここぞというときに必ず打ちまくって甲子園を埋め尽くした大観衆を狂喜させたあのガッツ溢れるプレーは,一体どこに消え失せてしまったのであろうか。バレンタイン・マジックにたぶらかされたとしかいいようのない摩訶不思議な現象であった。それにしても第1戦~第3戦にかけて,9打席連続ヒットという途轍もないシリーズ新記録を打ち立てた選手もいて,大差のわりには最後まで興味深く観戦することができた。傍若無人の日本バッシングを国是としている近隣覇権主義国からの度重なる傲慢無礼な「通達」と,それに対する当局の優柔不断な対応をみるにつけ,どうにも歯がゆい思いの毎日であっただけに,その鬱憤を晴らしてくれるかのように楽しいイベントであった。

 野球の打撃部門の快挙として,サイクルヒットがある。一試合中にある打者が,ホームラン,三塁打,二塁打,シングルヒットのすべてを打った場合のことで,日本のプロ野球界でもすでに何人もこのおめでたい記録に名を連ねている。すでに古希を迎えた私には,野球でのサイクルヒットなど遠い昔の夢になってしまった。しかし,必ずしもサイクルヒットは野球だけに限られたものではない。いろいろな分野で,これに類する記録に挑戦している方々も沢山おられる。ここでは,私自身が経験したサイクルヒットについて述べてみたい。自慢話になってしまうので誠に恐縮ではあるが,一老医の世迷いごととして聞き流していただければ幸いである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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