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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科79巻11号

2007年10月発行

特集 地域医療との共生―術後処置の依頼と紹介

3.頭頸部腫瘍

著者: 藤井正人1

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構東京医療センター耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.830 - P.836

文献概要

Ⅰ.はじめに

 頭頸部の手術は良性腫瘍に対するものから悪性腫瘍の手術で再建手術も含めたものまでさまざまである。良性腫瘍に対する単純な摘出術の場合は術後に数回,外来で経過を観察して終診となる場合も多い。しかし,悪性,良性を問わず術後に再発の可能性がある場合や術後に創の管理が必要な場合では退院後もしばらく外来通院が必要である。そのような場合,自院へ通院することが多いが患者の希望や地理的に通院が困難な場合などで他院に術後処置の依頼をする場合がある。そのようなときに,どのようなことに気をつけて依頼を行うか,患者の状態や創の状態の変化を予測して依頼や紹介を行うかが重要である。

 一方,悪性腫瘍の場合は,術後の変化や再発の有無などに関して厳重に経過観察することが必要である。その場合,地理的な要因や患者の希望などによりかかりつけの医院や通院に好都合の基幹病院へ治療後の経過観察や追加治療などを依頼する場合がある。また,頭頸部癌治療においては癌治療専門病院に手術が集中する傾向があり,そのような病院は外来診察より入院患者の手術に多くの時間を割いており,術後の処置や経過観察に関しては地域の病院へ紹介して経過観察を依頼することが日常的に行われている。このような場合はさまざまな問題が発生する可能性があり,依頼や紹介に当たっては細心の注意を要する。頭頸部癌患者で特に進行癌で予後不良が予測される場合など,本来,患者の状態を考えると手術を施行した施設で引き続きできるだけ長期に経過観察を行うべきであり,安易に依頼や紹介を行うべきではない。しかし,癌専門病院の機能的観点や患者の希望や患者の社会環境から他院に治療後の経過観察を依頼せざるをえない場合もある。

 今回,頭頸部腫瘍の治療後処置,特に術後の場合について依頼と紹介を行う場合にどのような点に注意して行うべきか,また紹介状にはどのような内容を記載すべきかに関して参考となる事項を述べるとともに,悪性腫瘍の場合は治療後の処置や管理に関してどのような点に気をつけて依頼して紹介するべきかを検討する。

参考文献

1)市田憲信:実地医家のための外来小手術アトラス.文光堂,東京,1988,pp52-53
2)貴志和生:傷を綺麗に治すための工夫.よくわかる子供のための形成外科.中島龍夫(編).永井書店,大阪,2005,pp429-430
3)Karawala CJ, et al:Prospective randomized trial of the benefits of a sternocleidomastoid flap after superficial parotidectomy. Br J Oral Maxillofac Surg 40:468-472, 2002
4)Cesteleyn L, et al:Temporoparietal fascia flaps and superficial musculoaponeurotic system placation in parotid surgery reduces Frey's syndrome. J Oral Maxillofac Surg 60:1284-1297, 2002
5)Krolls SO, et al:Mixed tumors of salivary glands, long term follow-up. Cancer 30:276-281, 1972

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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