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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科79巻12号

2007年11月発行

原著

早期診断で救命しえた破傷風の1症例

著者: 星野朝文12 柴崎修2

所属機関: 1筑波大学大学院人間総合科学研究科 2茨城県厚生連茨城西南医療センター病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.911 - P.913

文献概要

I.はじめに

 破傷風(tetanus)は,破傷風菌(Clostridium tetani)によって産生される毒素の1つである神経毒素により,強直性痙攣を引き起こす感染症である。1968年より乳児への破傷風トキソイドの接種が開始され,その罹患数や死亡者数は激減しているものの,いまだに年間100人程度の発症がある1)。重篤な場合には死に至ることもあるため,破傷風はいまだに重要な疾患である。不幸な結果を招かないためには,早期の診断(疑いも含めて)とICUでの全身管理を含めた適切な治療が重要である2)。全身の強直性痙攣の前駆症状である開口障害,嚥下障害を呈した患者2)が耳鼻咽喉科を受診する可能性は高く,耳鼻咽喉科医にとって常に念頭に置かなければならない疾患である。今回,われわれは急速に進行した破傷風で,早期診断が救命につながったと思われる1症例を経験したので報告する。

参考文献

1)木村三生夫・他(編):予防接種の手引き.第10版.近江出版,東京,2005,pp152-153,576-577
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10)石松伸一・他:破傷風症例の検討.Med Postgrad 32:416-420,1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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