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特集 耳鼻咽喉科専門研修をはじめる医師へ―外来処置,手術のコツ,注意点
2.鼓膜切開
著者: 和田匡史1 山本裕1 髙橋姿1
所属機関: 1新潟大学医学部耳鼻咽喉科学
ページ範囲:P.999 - P.1004
文献購入ページに移動Ⅰ.はじめに
鼓膜切開は耳鼻咽喉科外来や夜間の救急外来にて行う機会が多く,単純ながら確実に実施しなければならない手技である。急性中耳炎,滲出性中耳炎が主な適応となるが,乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層の患者に行う機会がある1,2)。また近年ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)などの耐性菌の増加により,中耳炎の遷延化が問題となっている3,4)。その治療において切開排膿の重要性が再認識され,われわれ耳鼻咽喉科医にとってますます重要な手術手技となってきている。一方,手技自体は比較的簡便であるが,適切に行わないと内耳障害5)や出血,永久鼓膜穿孔などの副損傷,後遺症を引き起こす。
本稿では,これから耳鼻咽喉科を研修される医師が鼓膜切開を適切かつ安全にできるように,実際に則した準備,手技,注意点を中心に解説する。
鼓膜切開は耳鼻咽喉科外来や夜間の救急外来にて行う機会が多く,単純ながら確実に実施しなければならない手技である。急性中耳炎,滲出性中耳炎が主な適応となるが,乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層の患者に行う機会がある1,2)。また近年ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)などの耐性菌の増加により,中耳炎の遷延化が問題となっている3,4)。その治療において切開排膿の重要性が再認識され,われわれ耳鼻咽喉科医にとってますます重要な手術手技となってきている。一方,手技自体は比較的簡便であるが,適切に行わないと内耳障害5)や出血,永久鼓膜穿孔などの副損傷,後遺症を引き起こす。
本稿では,これから耳鼻咽喉科を研修される医師が鼓膜切開を適切かつ安全にできるように,実際に則した準備,手技,注意点を中心に解説する。
参考文献
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