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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科79巻2号

2007年02月発行

文献概要

特集 抗菌薬のファースト・チョイス

5.先天性囊胞性疾患の感染症

著者: 原田保1

所属機関: 1川崎医科大学耳鼻咽喉科学

ページ範囲:P.143 - P.148

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Ⅰ.はじめに

 耳鼻咽喉科領域における先天性囊胞性疾患はそれほど多くないが,年に何人かは外来を訪れる。先天性囊胞性疾患は頸部領域に多く,甲状舌管囊胞(正中頸囊胞)や鰓囊胞(側頸囊胞,耳下腺内鰓囊胞,舌根部鰓囊胞)などを挙げることができる。本稿では甲状舌管囊胞と側頸囊胞を中心に記載させていただく。これらの疾患は特徴的な症状や経過より診断は比較的容易であるが,悪性腫瘍との鑑別が重要になることもある。的確な診断や治療が行われず繰り返し炎症が起こればそのつど抗菌薬が処方され,やがて耐性菌が出現する。また切開・排膿がしばしば行われたり,自壊したりすると炎症が周囲組織に波及し,難治性になる。的確な診断を行いまず抗菌薬を中心とした治療を行うことにより治癒せしめる可能性がある。本稿では本疾患に対する適切な抗菌薬の使用法に関して述べる。

参考文献

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11)堀内正敏:側頸囊胞・瘻,今日の耳鼻咽喉科頭頸部外科治療指針.医学書院,東京,2003,p385

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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