文献詳細
原著
鼻内法で施行した小児線状型眼窩底骨折症例
著者: 山口宗一1 末野康平1 山口威2 岸博行2
所属機関: 1さいたま赤十字病院耳鼻咽喉科 2日本大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.153 - P.157
文献概要
眼窩底骨折は耳鼻咽喉科の日常診療でしばし遭遇する疾患であり,従来歯齦切開による経上顎洞法での治療が行われることが多かった1)。一方で各病院の診療体制によっては眼科や形成外科で治療が行われ,そこでは経下眼瞼法による報告が多い1~5)。最近は内視鏡下の鼻内法で施行されるようになり,前述の方法に比べて侵襲が小さく,眼窩内側壁骨折の症例では第一選択となっている6)。眼窩下壁の骨折端に絞厄された下直筋の解除を要する線状型眼窩底骨折症例は,鼻内法では難しいとも述べられ7),われわれが渉猟した限り,わが国での症例報告はなかった。
6歳児の線状型眼窩底の骨折に対して当初,経上顎洞法と鼻内法の併用で手術を予定したが,結果的に鼻内法のみで治療し得た症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。
参考文献
掲載誌情報