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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科79巻2号

2007年02月発行

文献概要

シリーズ DPCに対応したクリニカルパスの実際

⑫鼻中隔矯正術

著者: 春名眞一1 飯村慈朗1

所属機関: 1獨協医科大学耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.165 - P.175

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Ⅰ はじめに

 クリニカルパス(以下,パスと略す)は『医療の質の向上』を目的とした『医療の介入内容を計画化,書式化し,医療の評価と改善を行うためのシステム』であり,メリットとして,

 (1)医療の標準化,至適化

 (2)医療資源と時間の効率化,患者の時間,経済的負担の適正化

 (3)標準を呈示することによる異常に対する早期発見と対処

 (4)医療スタッフの教育

 (5)ミス,漏れや事故の防止

 (6)チーム医療,スタッフの主体性発揚

 (7)患者への説明,インフォームド・コンセント

 (8)医療管理(在院日数,コスト管理,原価計算)

 (9)医療内容の継続的改善のシステム化

(10)最善の医療を求めた研究応用

などが挙げられる1)

 本稿では,鼻中隔彎曲症に対する鼻中隔矯正術のパスについて,当院で実際に使用しているパスを呈示しながら説明する。

 鼻中隔矯正術は鼻中隔彎曲症に対して鼻腔形態を改善させ,鼻腔の開存性・通気性を改善させる手術であるが,凹側で下鼻甲介の代償性肥大を伴っていることが多いため,下鼻甲介粘膜切除術を併用することが多い。さらにアレルギー性鼻炎を合併するものも少なくないため,後鼻神経切断術を併用して行う場合もある。しかし,すべての手術を施行しても手術時間はほぼ1時間で終わり手術自体のリスクも低い。基本的には局所麻酔下に施行することが可能だが,近年では全身麻酔下に施行する症例も増加している。

 外科系疾患に対するさまざまな手術にパス導入を検討する際,対象としやすいのは,

 (1)症例数が多く

 (2)術式が標準術式として定着しており

 (3)術後合併症の発生が少なく手術自体のリスクが低く

 (4)術後の入院期間が短く,バリアンスも少ない手術

 となっている2)

 この点において鼻中隔矯正術は,(1)~(4)のすべての項目を満たしパスの良い適応と考えられる。

参考文献

1)松島照彦・他:耳鼻咽喉科領域におけるクリニカルパスとインフォームドコンセント―クリティカルパスとは.ENTONI 37:1-7,2004
2)鴻 信義:耳鼻咽喉科・頭頸部外科手術とクリニカルパス―眼窩壁骨折整復術.JOHNS 20:1091-1094,2004
3)勝尾信一:オールインワンパスとアルゴリズムパス.パス最前線 2:4-5,2003
4)副島秀久:パスフォーマットの変遷.パス最前線 2:10-11,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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