耳鼻咽喉科・頭頸部外科79巻3号

2007年03月発行

原著

カテコラミン産生が疑われた鼓室型グロームス腫瘍例

著者： 大淵豊明¹ 上田成久¹ 塩盛輝夫¹ 宇高毅¹ 山本英永¹ 北村拓朗¹ 永谷群司¹ 鈴木秀明¹

所属機関： ¹産業医科大学医学部耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲：P.219 - P.223

文献概要

Ⅰ．はじめに

　グロームス腫瘍は1945年にRosenwasser^1）が初めて報告した。わが国では比較的稀な疾患である。本腫瘍は血流に富み，組織学的には良性腫瘍であるが，周囲の骨破壊や再発をきたすこともあると報告されている^2）。臨床的には腫瘍の発生部位によって鼓室型と頸静脈型のグロームス腫瘍に分類され，カテコラミンを産生する機能性腫瘍が1～3％にみられると報告されている^3）。今回われわれは鼓室内に限局し，カテコラミン産生が疑われた鼓室型グロームス腫瘍症例を経験したので報告する。

参考文献

1）Rosenwasser H：Carotid body tumor of the middle ear and mastoid. Arch Otolaryngol 41：64-67, 1945

2）堀部よし恵・他：鼓室型グロームス腫瘍例．耳鼻臨床 93：275-281，2000

3）Schwaber MK, et al：Diagnosis and management of catecholamine secreting glomus tumor. Laryngo Scope 94：1008-1015, 1984

4）増井紗矢香・他：鼓室型グロムス腫瘍の2症例．Otol Jpn 15：157-160，2005

5）天津睦朗・他：中耳傍神経節腫の1例．耳鼻臨床 65：1163-1168，1972

6）Fisch U：Infratemporal fossa approach for glomus tumors of the temporal bone. Ann Otol Rhinol Laryngol 91：474-479, 1982

7）藤田豪紀・他：鼓室型グロムス腫瘍症例―術前の画像診断を中心に．耳鼻臨床 84：453-458，1991

8）中野友明・他：鼓室型グロームス腫瘍例．耳鼻臨床 97：385-389，2004

9）成尾一彦・他：鼓室型グロームス腫瘍例．耳鼻臨床 94：983-990，2001

10）河野浩万・他：血管塞栓術並びにKTPレーザーが有用であった鼓室型グロームス腫瘍の1症例．Otol Jpn 15：166-170，2005

11）岡本康秀・他：カテコラミン産生性glomus jugulare tumorの1例の治療経験と周術期管理の問題点．Otol Jpn 11：599-603，2001

12）天野　肇・他：カテコラミン産生鼓室型グロームス腫瘍の1例．耳喉頭頸 71：894-895，1999

13）本郷充彦：NEW薬理学．南江堂，東京，1998，pp98-113

14）上田晃之・他：カテコラミン産生グロムス腫瘍の1例．日内会誌 91：731-733，2002