icon fsr

文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科79巻3号

2007年03月発行

シリーズ DPCに対応したクリニカルパスの実際

⑬内視鏡下鼻副鼻腔手術

著者: 井門謙太郎1 平川勝洋1

所属機関: 1広島大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科

ページ範囲:P.267 - P.272

文献概要

Ⅰ はじめに

 クリニカルパス(以下,パスと略す)とは,もともとは製造業における効率化,標準化を目的とした経営工学上の概念であったが,1985年ころにZander 1)によって考案され,看護の質の向上,患者の満足度の上昇,医療スタッフの教育,医療施設の経営改善などに効果を上げる臨床マネージメントツールとして,アメリカや欧州の医療施設に急速に浸透した。わが国では1990年代半ばから導入する施設が増加してきた。さらに2003年より特定機能病院の一般病床で,診療報酬が従来の出来高算定からDPC(diagnosis procedure combination:診断群分類構築)2,3)と呼ばれる疾患ごとの分類に基づく定額支払い制に代わり,ますます医療の効率化が求められるようになった。また,EBM(evidence based medicine)に基づく診療ガイドラインの作成,インフォームド・コンセントなどの医療の質,患者の権利が,近年,強く問われるようになり,医療サービス向上の手段としてもパスを導入する医療機関が増えてきている。

 内視鏡下鼻副鼻腔手術は手術手技の多様さは別にして,頭頸部外科手術のなかでは比較的定型的な経過をたどる手術であり,症例数が多く,かつ全身的侵襲は低いため,パスを導入するにはきわめて適した手術といえる。本稿では,内視鏡下鼻副鼻腔手術について,当院で実際に使用しているパスを呈示しながら説明する。

参考文献

1)Zander K:Critical and acticipated reconery path:Only the beginning. Ners Mannage 25:34-37, 1994
2)松田晋哉:DPCと病院マネジメント.じほう,東京,2005,pp303-312
3)松田晋哉:基礎から読み解くDPC―正しい理解と実践のために.医学書院,東京,2005,pp1-80
4)木所昭夫・他:クリニカルパスの実際―われわれはこうしている―乳癌手術.外科治療 85:303-312,2001
5)松島照彦・他:クリティカルパスとは.ENTONI 37:1-7,2004
6)河田 了:口腔咽頭領域におけるクリニカルパス.ENTONI 37:26-32,2004
7)池田俊也:DPCとクリティカルパス―DPC対応型クリティカルパスの5つの条件.医療マネジメント会誌 5:358-360,2004
8)李 啓充:市場原理に揺れるアメリカの医療.医学書院,東京,1998,pp139-164

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら