文献詳細
原著
甲状腺腫瘍として加療され15年後に確定診断された右側下咽頭梨状窩瘻の1例
著者: 佐藤克郎1 野村智幸3 花澤秀行2 富田雅彦3 渡辺順3 松山洋3 高橋姿2
所属機関: 1新潟大学大学院医歯学系頭頸部外科学 2新潟大学大学院医歯学系耳鼻咽喉科学 3新潟大学医歯学総合病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.339 - P.342
文献概要
下咽頭梨状窩瘻は,頸部の下咽頭梨状窩下部すなわち甲状腺付近に反復性の感染を生じて発見される先天性疾患であるが,1970年代後半に初めて報告された比較的新しい疾患概念である1)。そのため,本疾患の知識が普及する以前では下咽頭梨状窩瘻の症例は反復性化膿性甲状腺炎として取り扱われることが多かったと考えられ,甲状腺疾患として加療されていた可能性がある。また本疾患は,発生学的な機序から大多数が左側の梨状窩に生ずる。
今回われわれは,他院にて甲状腺腫瘍として加療された15年後に,右側に発生した下咽頭梨状窩瘻と確定診断して根治手術を行った1例を経験したので報告する。
参考文献
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