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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科79巻5号

2007年04月発行

文献概要

特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科のリハビリテーション―症例を中心に 各論

1.聴力とめまい 2)人工内耳―小児

著者: 熊川孝三1 射場恵1 小山由美2

所属機関: 1虎の門病院耳鼻咽喉科・聴覚センター 2慈生会病院リハビリテーション科

ページ範囲:P.77 - P.83

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Ⅰ はじめに

 小児の人工内耳装用者のハビリテーションが,成人装用者のそれと根本的に異なる点として,以下の項目が挙げられる。

 (1)言語発達段階や全身的な発達状態を含めて考えることが前提である。

 (2)装用児と養育者,両者への指導が不可欠である。

 (3)ハビリテーションの内容や目的が年齢や装用期間などに応じて変化する。

 (4)聴取成績の向上のみならず,コミュニケーション能力・言語力の向上が最終目的となる。

 (5)そのため病院だけでは不十分で,療育・教育機関との連携が不可欠である。

 一般的な人工内耳装用児のハビリテーションの流れおよび役割分担を図1に示した。スタッフとして言語聴覚士が担う役割は多岐にわたる1)が,技術的な重要ポイントは,

 ・術前からのかかわりと評価

 ・養育者の指導(カウンセリングを含む)

 ・適切な人工内耳マッピングを行うこと

である。ここでは,耳鼻咽喉科の専門医として言語聴覚士との共生に必要な知識について述べる

参考文献

1)城間将江:人工内耳装用児の(リ)ハビリテーション,アドバンスシリーズコミュニケーション障害の臨床.7,聴覚障害日本聴能言語士協会講習会実行委員会(編).共同医書出版社,2002,pp193-220
2)井脇貴子・他:人工内耳導入前後に小児に現れた心理的サインについて.Audiology Japan 48:395-396,2005
3)小山由美・他:人工内耳装用児における手指言語から音声言語への移行.Audiology Japan投稿中
4)射場 恵・他:人工内耳装用児のリハビリテーション.愛媛大学教育学部障害児教育研究室研究紀要,第22号:115-121,1999
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10)高橋信雄:人工内耳装用児のリハビリテーション.ENTONI 27:72-79,2003
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14)日本人工内耳研究会:語音聴取評価検査「CI-2004(試案)」検査手引書.日本人工内耳研究会,2004
:A Sound Foundation through Early Amplification 2001, ed by Seewald RC, Gravel JS. Phonak AG, Geneve, 2002, pp195-202
16)城間将江:小児人工内耳リハビリテーションをめぐる考察.手話コミュニケーション研究 35:12-18,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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