耳鼻咽喉科・頭頸部外科79巻5号

2007年04月発行

特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科のリハビリテーション―症例を中心に

各論

2．音声言語ならびに嚥下　1）口蓋裂術後，鼻咽腔閉鎖不全に対するリハビリテーション

著者： 守本倫子¹ 佐藤裕子²

所属機関： ¹国立成育医療センター耳鼻咽喉科 ²国立成育医療センターリハビリテーション科

ページ範囲：P.107 - P.114

文献概要

Ⅰ　はじめに

　口蓋裂は日本では約500人に1人の割合の発生頻度と報告されており，それほど稀な疾患ではない。口唇口蓋裂の治療では，通常口唇形成術，口蓋形成術，顎裂骨移植，口唇外鼻修正術など一連の手術が出生時から成人に至るまで必要となり，精神面を含め，本人，家族の負担は大きい。年齢的にも言語の習得に重要な時期であり，小児科，麻酔科，形成外科，歯科口腔外科，リハビリテーション科と耳鼻咽喉科などの複数の専門科が連携をとって問題の解決に当たっていくチーム医療が一般的になりつつある^1）。これにより，患者の顎顔面の成長，発育を観察しながら治療計画を立案することの重要性が認識されている。当院では，形成外科，口腔外科，リハビリテーション科と耳鼻科が合同で口蓋裂チーム外来を開設し，口蓋裂術後や鼻咽腔閉鎖不全の児に対して構音訓練や外科的治療の適応などについて定期的に検討している。本稿では，当院で行われている訓練とチーム外来の介入について概説する。

参考文献

1）金子　剛・他：口唇裂，口蓋裂のチーム医療，慶応義塾大学病院における口唇裂，口蓋裂のチーム医療の現況と問題点．形成外科 45：131-140，2002

2）岡崎恵子・他：口蓋裂の言語臨床（2nd ed）．医学書院，東京，2005，pp25-41

3）阿部雅子：構音障害の臨床―基礎知識と実践マニュアル．金原出版，東京，2003，pp7-40

4）大原博敏・他：小児の耳鼻咽喉頭・頭頸部疾患―口唇裂，口蓋裂．小児外 38：1265-1270，2006

5）岡崎恵子・他：シリーズ言語臨床事例集第1巻―口蓋裂．学苑社，東京，1999

6）北野市子・他：22q11.2欠失症候群児と非症候群児の咽頭弁形成術後成績について．日口蓋裂 30：242-247，2005