icon fsr

文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科79巻5号

2007年04月発行

特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科のリハビリテーション―症例を中心に

各論

2.音声言語ならびに嚥下 2)嚥下障害

著者: 三枝英人1

所属機関: 1日本医科大学耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.115 - P.121

文献概要

Ⅰ はじめに

 リハビリテーションの語源としての『再び人間らしい生活をすることができる』という観点からみれば,“嚥下障害に対するリハビリテーション”とは,必ずしも嚥下障害を根治するということのみを目標とするものではないことがわかる1)。近年は,内視鏡的胃瘻造設術や埋込み型中心静脈栄養法などの代替栄養法の進歩により,嚥下障害に対する対応が進み,嚥下障害に伴う栄養不良や脱水により,重篤な状態に至ることは少なくなってきていると思われる。一方で,嚥下が水分・栄養摂取という生命の根源的要求に従う機能であるためであろう,ほかの障害に比較して,その改善への要求は根深いものがある。重度の嚥下障害のために長期にわたって代替栄養を余儀なくされている患者であっても,『もし,たった一口の水でも』と,経口摂取への望みを強く心に抱いている場合は多い。しかし,嚥下障害に対する機能訓練をはじめとしたリハビリテーションの手法には,現在まで,種々のものが報告されているものの,その多くは経験的に行われている側面が強く,いまだに科学的根拠に基づいた検証がなされていないというのが現状であるように思う。

 本稿では,病態に応じた適切な嚥下機能訓練・指導を行うことの重要性を実際の症例から学びたいと思う。

参考文献

1)三枝英人:嚥下障害のリハビリテーション.耳喉頭頸 73:674-680,2001
2)三枝英人:嚥下の仕組み.JOHNS 21:1718-1724,2006
3)三枝英人・他:喉頭挙上に左右差があることに起因する嚥下障害とその対応.日気食会報 52:1-9,2001
4)三枝英人:耳鼻咽喉科・頭頸部外科診療のコツと落とし穴3,神崎仁(編).中山書店,東京,2006,pp166-168
5)江藤文夫:やさしいリハビリテーション.日本醫事新報社.1991,pp17-55
6)伊藤裕之・他:なぜ咽頭期嚥下障害に対して理学療法による機能訓練は有効なのか.日気食会報 57:1-7,2006
7)三枝英人・他:舌癌術後等の咽頭への送り込み障害に対する摂食補助具の検討と工夫.日気食会報 50:597-602,1999
8)愛野威一郎・他:舌癌術後等の咽頭への送り込み障害に対する摂食補助具の更なる改良.第14回耳鼻咽喉科リハビリテーション医学研究会予稿集,2005
9)三枝英人:嚥下障害の取り扱い.総合臨床 53:2953-2954,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら