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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科79巻5号

2007年04月発行

文献概要

特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科のリハビリテーション―症例を中心に 各論

2.音声言語ならびに嚥下 3)嗄声

著者: 馬場均1 廣田隆一12 高ノ原恭子2

所属機関: 1京都府立医科大学耳鼻咽喉科学教室 2京都府立医科大学附属病院リハビリテーション部

ページ範囲:P.135 - P.140

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Ⅰ はじめに

 音声障害は声の正常範囲からの逸脱1)であるが,声の正常範囲を定義することは困難であるため,声の質,ピッチ,強さが,個人のもつ声の多様性を考慮に入れたうえでの標準から逸脱した状態2),とされる。音声障害は喉頭の発声機能の障害である発声障害と,声道の伝達機能の障害である共鳴障害に大別され,発声障害は発声器官に器質的病変が存在する器質性発声障害と,器質的病変のない機能性発声障害に分類される3)

 嗄声は発声障害の主体をなすもので,音色の障害とされる。日常臨床では,嗄声をGRBAS尺度による聴覚印象4)で評価することが一般的である。

 嗄声に対する治療法は,保存的治療と外科的治療に分類され,保存的治療には薬物療法と音声治療がある。

 保存的治療である音声治療は,発声行動の再調整法とされており,患者に自分自身の不適切な発声方法を理解させることと,それを自己修正させ効率的な発声方法を習得させることを目的に行われる5)。その適応については,音声治療が治療法として第一選択である場合(不適切な発声行動に起因する音声障害など),外科的治療が不可欠ではなく,音声治療による症状の軽減が期待できる場合(一側性声帯麻痺や声帯結節のなかで発声障害が比較的軽度の症例),外科的治療の補助的効果(音声外科手術後の補助治療など),外科的治療に困難や限界がある場合が挙げられる2)(表1)。音声治療は,生活指導を中心とした間接訓練と実際の発声方法を変える直接訓練に大別されているが5),間接訓練と直接訓練は,独立したものではなく相補的な関係にある。

参考文献

1)廣瀬 肇:Ⅰ総論.音声障害の臨床.インテルナ出版,東京,1998,pp1-8
2)小林範子:音声障害のリハビリテーション.21世紀耳鼻咽喉科領域の臨床11,言語聴覚リハビリテーション,野村恭也・他(編).中山書店,東京,2000,pp44-54
3)立花文寿:3音声障害の分類と原因.音声治療学,小池靖夫(編).金原出版,東京,1999,pp16-24
4)高橋宏明:Ⅵ.声の聴覚的評価 3.GRBAS尺度による評価.声の検査法臨床編.第2版,日本音声言語医学会(編).医歯薬出版,東京,1994,pp193-208
5)城本 修:嗄声・失声に対する音声治療.JOHNS 22:613-616,2006
6)長谷 斉:最近のリハビリテーションの動向と本学リハビリテーション部の現況.京府医大誌 114:643-651,2005
7)Verdolini-Marston K, et al:Effect of hydration treatments on laryngeal nodules and polyps and related voice measures. J Voice 8:30-47, 1994
8)Verdolini K, et al:Dependence of phonatory effort on hydration level. J Speech Hear Res 37:1001-1007, 1994
9)Koufman JA:The otolaryngologic manifestations of gastroesophageal reflux disease(GERD):a clinical investigation of 225 patrients using ambulatory 24-hour pH monitoring and an experimental investigation of the role of acid and pepsin in the development of laryngeal injury. Laryngoscope 101(Suppl 53):1-78, 1991
10)Kuhn J, et al:Pharyngeal acid reflux events in patients with vocal cord nodules. Laryngoscope 108:1146-1149, 1998
11)廣瀬 肇:Ⅴ音声障害の治療.音声障害の臨床.インテルナ出版,東京,1998,pp120-143
12)Morrison MD, et al:Muscular tension dysphonia. J Otolaryngol 12:302-306, 1983
13)Morrison MD, et al:Diagnostic criteria in functional dysphonia. Laryngoscope 94:1-8, 1986

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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