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特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科のリハビリテーション―症例を中心に 各論
3.顔面神経麻痺 1)発症早期のリハビリテーション
著者: 川口和浩1 青柳優1 稲村博雄1
所属機関: 1山形大学医学部情報構造統御学講座耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野
ページ範囲:P.153 - P.158
文献購入ページに移動末しょう性顔面神経麻痺,特にBell麻痺やHunt症候群の治療においては,病的共同運動や顔面拘縮などの後遺症なしに回復させることが求められる。これらの疾患では自然治癒となるような軽症例と,後遺症が発現して回復が不十分な重症例が混在する。いうまでもなく自然治癒が見込めるような軽症例にはリハビリテーションは不要であるが,発症早期にはその鑑別は必ずしも容易ではない。
末しょう性顔面神経麻痺の後遺症としては,病的共同運動,顔面痙攣,顔面拘縮,ワニの涙症状などが知られている。高度の神経変性を生じた顔面神経麻痺においては,程度の差こそあれ後遺症は必発である。いったん後遺症が発症すれば自然治癒は望めず,患者は長期にわたり不快な症状に苦しみ,QOLも低下する。これら後遺症の治療については,従来から理学療法や薬物治療,神経あるいは筋切断術などの外科的治療が試みられてきたが,これらの治療効果については必ずしも満足なものは得られていない。顔面神経麻痺のリハビリテーションは,薬物あるいは外科的治療で達成できない要素を担当するものであるが,その適応や手技については議論のあるところである。すべての顔面神経麻痺症例に対してリハビリテーションが必要となるわけではないが,ともすれば不適切なリハビリテーションによって後遺症がより顕在化することもありうる。
本稿では,顔面神経麻痺におけるリハビリテーションについて考察するうえで必要な顔面神経,および顔面表情筋の解剖学的特徴,末しょう性顔面神経麻痺と回復における病態,さらにわれわれが行っている発症早期におけるリハビリテーション指導について解説する。固定した後遺症の評価や各種治療に関しては他稿を参照されたい1)。
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