文献詳細
特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科のリハビリテーション―症例を中心に
各論
文献概要
Ⅰ はじめに
舌・咽頭は嚥下機能において重要な器官であり,この部分への手術的操作は口腔期・咽頭期の嚥下動態に大きな影響を及ぼす。癌の手術においては組織切除による欠損や形態の変化,運動機能の障害,知覚の障害などを生じ,高度な嚥下障害を生ずる可能性がある。また,頸部への手術操作や放射線治療の影響も考慮しなければならない要素である。
術後嚥下障害が生じた際,まず試みられることは残存した機能を最大に活用できるようにする,すなわち嚥下リハビリテーションであり,これは間接および直接訓練にとどまらず,食物の形態,食事の姿勢,嚥下方法から理学的療法までを含んだ総合的なものとして扱われている。リハビリテーションを効率よく行うためには,障害部位とその病態を把握し,障害に応じた内容を選択する必要がある。しかし,嚥下リハビリテーションによりすべての嚥下障害に対応できるわけではなく,手術治療をはじめとした治療計画において機能障害の可能性を考慮し,対策を立てておくべきであろう。ここでは嚥下障害に対するリハビリテーションを解説するとともに,症例を通してその限界について考えたい。
舌・咽頭は嚥下機能において重要な器官であり,この部分への手術的操作は口腔期・咽頭期の嚥下動態に大きな影響を及ぼす。癌の手術においては組織切除による欠損や形態の変化,運動機能の障害,知覚の障害などを生じ,高度な嚥下障害を生ずる可能性がある。また,頸部への手術操作や放射線治療の影響も考慮しなければならない要素である。
術後嚥下障害が生じた際,まず試みられることは残存した機能を最大に活用できるようにする,すなわち嚥下リハビリテーションであり,これは間接および直接訓練にとどまらず,食物の形態,食事の姿勢,嚥下方法から理学的療法までを含んだ総合的なものとして扱われている。リハビリテーションを効率よく行うためには,障害部位とその病態を把握し,障害に応じた内容を選択する必要がある。しかし,嚥下リハビリテーションによりすべての嚥下障害に対応できるわけではなく,手術治療をはじめとした治療計画において機能障害の可能性を考慮し,対策を立てておくべきであろう。ここでは嚥下障害に対するリハビリテーションを解説するとともに,症例を通してその限界について考えたい。
参考文献
1)古川浩三:老人の嚥下.耳鼻咽喉科・頭頸部外科MOOK No. 12.金原出版,東京,1989,pp145-150
2)丘村 煕:嚥下のしくみと臨床.金原出版,東京,1993
3)藤島一郎:脳卒中の摂食・嚥下障害.医歯薬出版,東京,1993
4)特集―誤嚥をどうする.JIM 8:984-1036,1998
5)藤島一郎:摂食・嚥下障害とは.摂食・嚥下リハビリテーション.医歯薬出版,東京,1998,pp67-86
6)特集―嚥下障害マニュアル.JOHNS 14:1672-1766,1998
7)Jeri A. Logemann:Logemann摂食・嚥下障害.道 健一,道脇幸博(監訳).医歯薬出版,東京,2000
8)藤本保志・他:舌癌根治切除・再建術後の嚥下機能.JOHNS 16:637-642,2000
9)花澤 秀・他:舌癌再建後の構音障害と対策.JOHNS 16:643-647,2000
10)小村 健・他:中咽頭癌拡大切除再建術後の機能障害.JOHNS 17:585-589,2001
11)藤本保志・他:中咽頭癌治療後機能障害のリハビリテーション.JOHNS 17:591-595,2001
12)吉田哲二(編):嚥下障害Q & A.医薬ジャーナル社,大阪,2001
13)稲田晴生(編):嚥下障害リハビリテーション実践マニュアル.Medical Rehabilitation No. 2,2001,全日本病院出版協会,東京,2001
14)特集―嚥下障害の診断Update.臨床リハ 11:786-824,2002
15)湯本英二:嚥下障害を治す.耳鼻咽喉科診療プラクティスNo. 7,文光堂,東京,2002
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