icon fsr

文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科79巻6号

2007年05月発行

--------------------

あとがき フリーアクセス

著者: 竹中洋

ページ範囲:P.450 - P.450

文献概要

 本誌79巻2号で触れた,『温暖化と植生』についての続きを少し記します。植物には暖かさの指数という活動の指標があります。簡単にいえば摂氏5 ℃以上で温帯植物の重要な生命現象が営まれています。普通は月ごとの平均気温の積算で表現されます。当然温暖化が進めば積算温度も変わります。例えば,私も含めて多くのスギ花粉飛散予測者(あくまで予想者ではない)は標準木を中心に『今年の花芽の量は少ない』と判断しました。昨年の夏に台風が多かったこと,熱帯夜が少なかったことも当然のことながら根拠となっています。

 ところが,3月に入って突如のスギ花粉嵐に襲われました。病院は患者さんに襲われることになりました。日最高気温が摂氏12 ℃を超え,湿度が低くなると関西ではスギ花粉が飛び交います。例年だと2か月をかけてゆっくり飛び出すものが,一気に飛散を始めます。『少ない出来高でも短期間に集中して効率よく飛んだ』のが今年の関西のスギ花粉飛散です。とんだところで温暖化の副産物が出現してしまいました。大きな教訓を得ました。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら