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雑誌目次

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科79巻9号

2007年08月発行

雑誌目次

特集 耳鼻咽喉科関連の資格等の取得について

1.耳鼻咽喉科専門医

著者: 新川秀一

ページ範囲:P.641 - P.645

Ⅰ.はじめに

 耳鼻咽喉科専門医とは,臨床研修および専門領域研修における修練に基づいて習得した耳鼻咽喉科医としての卓越した知識・技能および態度を社団法人日本耳鼻咽喉科学会(日耳鼻)が行う試験で認定された医師である。また,その専門性を『耳鼻咽喉科専門医』として表示できることが厚生労働省から認められている。

 日耳鼻のなかに,耳鼻咽喉科専門医制度規則・細則によって規定されている専門医の認定やその更新など,実際の運営を行うために専門医制度委員会が設置されている。この制度の目的は,医学的水準の向上,優れた耳鼻咽喉科医の育成,生涯にわたる専門医の研修などを図ることによって,国民の医療の向上と社会福祉に貢献することとしている。また,患者が受診に当たって耳鼻咽喉科医としての専門性を判断できるという意味もある。したがって,日耳鼻における専門医制度の運営は,耳鼻咽喉科・頭頸部外科という専門性の維持と強化という観点から最も重要な活動の1つである。

2.日本めまい平衡医学会専門会員

著者: 肥塚泉

ページ範囲:P.647 - P.651

Ⅰ.日本めまい平衡医学会の概要と沿革

 めまい平衡医学の臨床および研究の両面におけるエキスパートの育成を目的に,日本めまい平衡医学会では1969年より専門会員(active member)という資格を設定している。日本めまい平衡医学会および専門会員制度の概要と沿革については,学会ホームページ(http://www.memai.jp)に詳しく記載されている。以下にその全文を転載させていただく(注:若干の加筆を行った)。

 日本めまい平衡医学会は,1957年10月18日に第2回オージオロジー学会の委員会の1つとして発足し,第1回『前庭研究の集い』が京都市の湯川記念会館で行われたのが始まりである。このときの演題は5題で,①Frenzel眼鏡使用の問題点(渡辺 勈:東京医科大学),②ENGの検討(鈴木淳一:東京大学,戸塚元吉:順天堂大学),③聴神経腫瘍症例(渡辺 勈:東京医科大学),④眼振の観察および記録法(武山貢次:東北大学),⑤眼振のeye-speed(小池吉郎:新潟大学)であった(注:各演者の所属は当時のまま記載した)。

3.日本気管食道科学会専門医

著者: 甲能直幸

ページ範囲:P.653 - P.661

Ⅰ.はじめに

 本学会の専門医制度を述べるには,なぜ,本学会が設立されたのか,学会創設の経緯,歴史を解説せねばならない。

4.日本アレルギー学会専門医

著者: 寺田哲也 ,   竹中洋

ページ範囲:P.663 - P.667

Ⅰ.はじめに

 日本アレルギー学会(以下,アレルギー学会と略す)の会員総数は9,500名(2007年4月現在)に上り,耳鼻咽喉科医以外にも内科,小児科,皮膚科,眼科などの臨床医や基礎医学者,基礎研究者が会員として属している。医師免許をもった会員数は7,955名で,そのうちの専門医取得者は2,581名である。科別の内訳は表1のごとくで,耳鼻咽喉科は会員数,専門医数,指導医数すべてにおいて学会全体からみると少数といわざるをえず,それぞれの増加が期待される。

 この稿では,アレルギー学会の沿革とアレルギー学会専門医,指導医の資格取得などについての概略を述べる。

目でみる耳鼻咽喉科

外耳道骨腫の1症例

著者: 渡邊健一 ,   山岸茂夫 ,   木村まき ,   山内陽子 ,   山口智 ,   青木秀治 ,   松本光司

ページ範囲:P.628 - P.629

Ⅰ.はじめに

 外耳道は,その解剖学的特徴により外部からの観察が困難である。このため,自覚症状が出現するまで,腫瘤性病変が長期間放置されることがある。外耳道骨腫の発生頻度は,外耳道に発生する腫瘤の約8%とされている1)。今回,われわれは耳閉塞感を主訴とした外耳道骨腫を経験したので報告する。

Current Article

内視鏡下耳科手術―現況と将来展望

著者: 欠畑誠治

ページ範囲:P.631 - P.639

Ⅰ.はじめに

 内視鏡は視点の移動,視野の変更を可能としたことで医療をはじめさまざまな分野で応用されている。内視鏡が通過できるルートがあれば対象物への接近が可能となり,内視鏡による観察ができる。外界と連続する管腔構造をもつ消化管,尿道・膀胱への使用のみならず,閉鎖腔である腹腔内や胸腔内へも小さな切開創を作製することで内視鏡を挿入することができ,内視鏡は低侵襲手術を可能とする重要な手術支援機器となっている。内視鏡には硬性鏡と軟性鏡があり,それぞれ目的・用途に応じて使い分けられている。ビデオカメラを接続することによって,直接接眼レンズを覗くのではなく,モニター上の映像を見ることができて手術操作も容易となった。また,画像情報の共有により複数の術者による手術が可能となり,より確実な観察・操作ができる。さらにCCDカメラのデジタルズーム機能により拡大視も可能である。その結果,これまで得られなかったアプローチが可能となり手術手技の簡略化が進んでいる。医学のさまざまな分野で,見たい部分を直接的に観察,さらには処置ができる長所を生かした低侵襲手術が開発されてきている。

 しかし,耳科手術において内視鏡は手術用顕微鏡に併用されているにすぎない。複雑な3次元構造の把握が必要不可欠である耳科手術において,内視鏡システムの抱える単眼視による立体映像呈示能力の不足,さらに被写界深度が深いことによる視覚的定位能力の不足など,今後解決されなければならない問題点がある。内視鏡のみで行う新たな内視鏡下耳科手術の開発に加え,手術用顕微鏡とのより高度なレベルでの共存が今後重要になると考えられる。

シリーズ DPCに対応したクリニカルパスの実際

⑱頸部郭清術

著者: 花澤豊行 ,   藤川陽 ,   厳瑩 ,   野畑二次郎 ,   岡本美孝

ページ範囲:P.669 - P.675

Ⅰ.はじめに

 クリニカルパス(以下,パスと略す)導入の目的は,本来2つに分けて考えられる。1つは,医療内容を標準化・適正化し,チーム医療を行うことで,効率化しながらも医療の質を保証し,向上させることである。もう1つは医療を効率的に行い,在院日数の短縮化やコスト管理による医療経済的効果である1)

 当科においても,2002年よりパスを特定の疾患に導入して活用している。今回は,このうち頭頸部癌における頸部郭清術の術前・術後管理に用いているパスについて紹介する。

⑱頸部郭清術

著者: 鈴木章之 ,   福田諭

ページ範囲:P.677 - P.681

Ⅰ.はじめに

 頭頸部癌は原発部位が多岐にわたり,それぞれの症例数が多くはないうえに,同一疾患であっても病期や合併症の有無などにより治療方針が症例ごとに異なる場合が多く,原発部位別にクリニカルパス(以下,パスと略す)を作成するのは困難と考えられている1,2)。そのため,疾患ごとではなく,手術や放射線,化学療法といった治療内容によってグループ分けをしてパスを作成する試みがなされている。頭頸部癌の手術においても切除範囲や頸部郭清,再建,気管切開の有無などにより術式が多岐にわたり,術後経過も一定しないため,疾患ごとにパスを導入するのは困難ではあるが,頸部郭清術や舌部分切除術,単純喉頭全摘術など一部の術式においては術後経過も比較的一定しておりパスの運用が可能である。

 頸部郭清術は原発巣の切除と同時に行われる場合が多い。しかし近年,放射線化学療法の発展により,進行癌においても一次治療として放射線化学療法が選択され,原発巣が制御される症例が増加しており,それに伴い,放射線化学療法後に頸部郭清術を単独で施行する症例が増加するものと考えられる。当科の場合,2006年に単独の頸部郭清術目的に入院した症例は22例であり,放射線化学療法後が12例,手術後の頸部再発が10例であった。

 頸部郭清術は郭清範囲により多彩な術後合併症の可能性があり,バリアンスの原因となり得るが,大きな合併症が起きる場合は少なく,パスの運用は十分可能である。各種頭頸部癌で頸部郭清術目的に入院した場合において,DPC(diagnosis procedure combination)では頭頸部悪性腫瘍,手術あり(そのほかの手術)と分類され,入院期間Ⅰ未満(1日当たり2,738点)は最初の14日間,入院期間Ⅱ未満(1日当たり2,173点)は15~38日目,入院期間Ⅱ以上(1日当たり1,847点)は39~98日目,入院99日目以降は出来高払いとなる。これは,化学療法や放射線治療の追加の有無にかかわらず同一である3)

原著

耳下腺原発小細胞癌症例

著者: 小林克彦 ,   塚本耕二 ,   鬼頭良輔 ,   金井信一郎 ,   伊藤信夫

ページ範囲:P.687 - P.690

Ⅰ.はじめに

 唾液腺の小細胞癌は全唾液腺腫瘍の1%未満,同部の悪性腫瘍のおよそ2%にみられる稀な予後不良の腫瘍である1~3)。WHO分類では独立した腫瘍として分類されている1)。今回われわれは,耳下腺原発の小細胞癌を経験したので若干の文献検的考察を加えて報告する。

鼻腔内逆生歯牙の1症例

著者: 山口宗太 ,   大越俊夫 ,   大久保はるか ,   持木茂樹 ,   樋口祐子 ,   大木幹文

ページ範囲:P.691 - P.693

Ⅰ.はじめに

 鼻・副鼻腔から発見される歯牙様組織は比較的稀である。鼻腔内に認められる逆生歯牙はわが国では1901年,金杉1)の報告以来,100余例の報告があるが,実際には日常診療においてそのような症例に遭遇することは稀である。

 今回われわれは,無症状で発見された鼻腔内逆生歯牙の1症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。

鏡下咡語

旅行,レジャーを楽しく―トラブルを起こさないように

著者: 柳田則之

ページ範囲:P.683 - P.686

Ⅰ.はじめに

 旅行や登山,潜水などのレジャーが盛んになってきたが,その際にトラブルを起こしては楽しみも半減する。

 私自身,気圧変化に関する基礎的,臨床的な研究を行ってきた関係から,気圧変化によって障害をきたす患者さんを診察する機会が多いので,今回,特に気圧変化が原因となるもの,すなわち,航空機による離陸,着陸時,登山,気球旅行における上昇,下降,また潜水時の潜航や浮上によって起こる障害について,さらにバスや船などの乗り物酔い(動揺病)について,その病態と予防対策について触れてみたいと思う。

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あとがき

著者: 竹中洋

ページ範囲:P.702 - P.702

 6月末に8月号の編集後記を書くことを考えていると筆が進みません。季節としての夏が大好きな私も年とともに汗が滴り落ちることがなくなり,あわせて夏が少し苦手になりました。30数年前の研修医時代にクーラーのない病棟で,ネクタイを締め汗をかかなかった僕はどうなったのでしょうか? 硬式テニス部で走り回っていた姿は目に浮かぶのですが,その姿は若いままです。

 ところで,京都の夏はあさましいほどの暑さですが,行事には事欠きません。7月に入れば祇園祭りのお囃子が町中に響きます。17日に向かって宵山の情緒は盛り上がっていきます。鱧もどんどん美味しくなっていきますし,鮎も風味を増していきます。24日の後祭りが済めば,下鴨神社のみたらし祭が月末にあります。一度は経験されることをお勧めします。その後に大文字(五山の送り火)があってお盆がクライマックスを迎えます。

基本情報

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1316

印刷版ISSN 0914-3491

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