耳鼻咽喉科・頭頸部外科80巻11号

2008年10月発行

原著

嚥下障害および呼吸苦をきたしたForestier病の1例

著者： 深谷和正¹ 佐藤靖夫¹ 荒木康智¹ 本村朋子¹

所属機関： ¹川崎市立川崎病院耳鼻咽喉科

ページ範囲：P.793 - P.796

Ⅰ．はじめに

　Forestier病（強直性脊椎骨増殖症）は椎体前縁の異常骨化により椎体の強直，変形をきたす疾患であり，整形外科領域では比較的よく知られている疾患である^1）。Forestier病の一般的な症状は脊柱の可動制限，背部痛などであるが，稀に骨増殖が進み，多彩な症状が出現する場合がある。今回，われわれは嚥下障害，呼吸苦を呈したForestier病の1例を経験したので，若干の文献的考察を加えて報告する。

参考文献

1）Forestier J, et al：Ankylosing hyperostosis of the spine. Clin Orthop 74：65-83, 1971

2）佐藤靖夫・他：中・下咽頭表在癌および咽候頭表在癌における診断と治療．消内視鏡 18：1407-1416，2006

3）松本直美・他：咽喉頭異常感と嚥下障害をきたしたForestier病症例．耳鼻臨床（補） 104：110-113，2000

4）Shapiro RF, et al：The association of HL-A B27 with Forestier's disease. J Rheumatol 3：4-8, 1976

5）三井　弘・他：いわゆるankylosing spinal hyperostosisとその鑑別診断について．整・災外 25：963-968，1982

6）奥野敬一郎・他：嚥下障害を主訴としたForestier病3症例の経験．日気食会報 54：313-317，2003

7）鈴木賀代・他：誤嚥をきたした強直性脊椎骨増殖症の1例．整形外科 55：1415-1418，2004

8）井上　雄・他：嚥下及び呼吸障害をきたした強直性脊椎骨増殖症の1例．整形外科 52：1145-1148，2001

9）阿部弘一・他：可逆性声帯可動制限を認めたForestier病例．耳鼻臨床 95：969-973，2002

10）和田誠之・他：強直性脊椎骨増殖症による前方骨棘で嚥下障害をきたした2例．日リウマチ・関節外学会誌 19：161-168，2000

11）長谷川和寿・他：嚥下障害を伴ったForestier病の2例．整・災外 30：887-891，1987

12）島津倫太郎・他：高度嚥下障害をきたしたForestier病の1例．耳鼻 42：1000-1003，1996

13）中平光彦・他：頸椎強直性脊椎炎の術後経過について．耳鼻 44：283-286，1998

14）長谷川　純・他：急性に嚥下障害を発症したForestier病の1例―Forestier病による嚥下障害の1考察．耳喉頭頸 75：313-317，2003

15）杉山誠一・他：嚥下障害をきたしたdiffuse idiopathic skeletal hyperostosisに対する手術治療．臨整外 36：1149-1154，2001

16）中村敏之・他：強直性脊椎骨増殖症の3例―手術のタイミングについて．関東整形災害外科学会雑誌 31：334-338，2000

17）木下久敏・他：強直性脊椎骨増殖症嚥下障害と呼吸困難を伴う症例について．整形外科 39：329-334，1988

18）近藤千晶・他：呼吸困難を呈した強直性脊椎骨増殖症の1例．東日臨整外会誌 8：477-480，1996

19）田原正道・他：抗うつ薬が奏効した強直性脊椎骨増殖症による嚥下障害の2例．整形外科 49：1221-1224，1998