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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科80巻12号

2008年11月発行

特集 耳鼻咽喉科とチーム医療の実践(1)小児難聴児への対応

3.小児難聴児への対応―難聴遺伝子診療外来,人工内耳センター,難聴児支援センターにおけるチーム医療

著者: 宇佐美真一123

所属機関: 1信州大学医学部耳鼻咽喉科 2信州大学医学部附属病院人工内耳センター 3長野県難聴児支援センター

ページ範囲:P.851 - P.858

文献概要

Ⅰ.はじめに

 難聴,特に内耳が障害される感音難聴は従来原因不明で治療法もなかったが,最近の医学の飛躍的な進歩により,遺伝子レベルで原因が次第に明らかになるとともに,聴覚検査機器の進歩により幼小児期から詳細な聴力の評価ができるようになってきている。また治療面では人工内耳の登場によって高度難聴児にも聴覚活用の道が開け,難聴治療の大きなブレイクスルーになっている。さらにデジタル補聴器をはじめとする補聴器の進歩にも目を見張るものがある。

 それらの診断,治療の進歩を難聴児に還元するためには『病院内』の医療チーム作り(耳鼻咽喉科医,小児科医,臨床遺伝専門医,看護師,言語聴覚士,臨床検査技師など)が重要である。また小児難聴は医療機関内の診断および治療(介入)だけでは完結しないところに大きな特徴と問題点がある。補聴器,人工内耳により得られた聴覚を有効に活用して言語の発達を促すためにはハビリテーション,教育環境,またそれらを支える福祉行政が重要になる。医療,教育,行政は,従来ほとんど独立しており,あまり連携が取られていなかったが,難聴児を取り巻く医療が劇的に変わってきている現在,新しい医療に対応した『病院外』のチーム作り(行政担当者,ろう学校教師,県医師会,保健師など)も重要になってきている。われわれは新生児聴覚スクリーニング,診断から治療,その後の(リ)ハビリテーションまでを一連のシステムとして考え,難聴児を取り巻く環境整備に努めている(図1)。本稿ではそれら一連の流れにおける信州大学医学部附属病院および長野県のチーム作りの取り組みに関して紹介する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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