文献詳細
原著
耳鼻咽喉科が初診であった脊髄小脳変性症症例
著者: 井上亜希1 尾関英徳1 室伏利久2
所属機関: 1東京逓信病院耳鼻咽喉科 2帝京大学医学部附属溝口病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.949 - P.953
文献概要
めまい・平衡障害を主訴に耳鼻咽喉科を受診する疾患は多彩であるが,耳鼻咽喉科を初診とする症例は末しょう性めまいが多数を占め,中枢性障害については診断がついたあとの神経耳科的検査の依頼で受診することが多い。しかし,中枢性疾患のなかにも一般神経学的症状に乏しく,診断未確定状態で耳鼻咽喉科を初診することがあり,診断には注意を要する。
脊髄小脳変性症は,小脳性または脊髄性の運動性失調を主症候とし,小脳や脊髄の神経核に病変の主座をもつ原因不明の疾患の総称である1)。本疾患の患者が耳鼻咽喉科を初診する例は比較的稀であるが,病初期にはふらつきなどの平衡障害が先行することがあり,ほかの鑑別診断の対象として留意しておく必要がある。
われわれは歩行時の不安定感を主訴に当科を初診し,最終的に脊髄小脳変性症と診断された症例を2例経験した。これら症例について考察を加えて報告する。
参考文献
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