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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科80巻2号

2008年02月発行

文献概要

原著

聴力像に左右差のない聴神経腫瘍4症例

著者: 松吉秀武1 蓑田涼生1 湯本英二1

所属機関: 1熊本大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科

ページ範囲:P.127 - P.132

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Ⅰ.はじめに

 聴神経腫瘍(以下,ATと略す)患者では8割以上が蝸牛症状を主訴に医療機関を受診すると報告1)されている。このような症例に対して耳鼻咽喉科医がまず行う検査として純音聴力検査が挙げられる。本検査にて左右差のないAT症例が,近年の画像診断の進歩に伴い報告されるようになってきた2~4)。今回われわれは2002年4月からの4年間に純音聴力検査にて左右差のないAT 4症例を経験した。聴力検査に左右差がない症例をみた場合に,どのようにすればATの見落しをなくすことができるかを,文献的考察を加えて報告する。

参考文献

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17)神崎 仁:聴神経腫瘍の外科的治療.耳展 33:446-449,1990

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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