文献詳細
原著
耳下腺深葉良性腫瘍手術後の顔面神経麻痺
著者: 横島一彦1 中溝宗永1 酒主敦子1 稲井俊太1 横山有希子1 杉崎一樹1 小町太郎1 八木聰明1
所属機関: 1日本医科大学耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.209 - P.212
文献概要
耳下腺腫瘍の術前評価のなかで,腫瘍の部位診断,特に浅葉腫瘍と深葉腫瘍の鑑別は重要である。腫瘍が深葉に存在すると,神経周囲の処理が多くなることで手術の難易度が高くなるうえ,顔面神経麻痺が高頻度に発症すると考えられるからである1~3)。
画像診断で耳下腺内の顔面神経を描出することは難しいため4,5),下顎後静脈,胸鎖乳突筋や顎二腹筋後腹との位置関係から顔面神経の仮想曲面を考えて,部位診断を行うのが一般的である6,7)。しかし,その方法にも限界があり,手術を施行してはじめて深葉腫瘍であることがわかることも少なくない。そのため,耳下腺腫瘍手術を行う場合には浅葉腫瘍への対応だけではなく,深葉腫瘍手術の手技に加え,インフォームド・コンセントに最もかかわる術後顔面神経麻痺についても十分に知っておく必要がある。
そこで,われわれが最近3年間に行った耳下腺深葉良性腫瘍手術例を解析し,術後顔面神経麻痺発症の頻度,原因,回復状況について検討した。
参考文献
掲載誌情報