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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科80巻5号

2008年04月発行

特集 オフィスサージャリー・ショートステイサージャリー

7.鼻骨骨折整復術

著者: 大木幹文1

所属機関: 1東邦大学医学部耳鼻咽喉科学第2講座

ページ範囲:P.59 - P.64

文献概要

Ⅰ はじめに

 オフィスサージャリーの適応については,2005年の日本耳鼻咽喉科学会総会でシンポジウムが開催された1)。そのなかで医療機関の条件と患者の条件としていくつかの項目が提案されている。医療機関の条件としては専門的技術に習熟した耳鼻咽喉科医の必要性,帰宅後のフォローアップの体制の確保が求められている。一方,患者と医師との信頼関係についても言及されている。したがって,オフィスサージャリーにおいては術後に入院管理が必要な場合を想定して施行する必要がある。

 このシンポジウムで佐藤1)は,鼻骨骨折整復術もオフィスサージャリーの一般的な適応術式として挙げている。鼻骨骨折は顔面の骨折のうち最も頻度が高い2)。外鼻への圧力の加わり方で骨の粉砕程度や変形はさまざまである。多くは当初,鼻出血で医療機関を訪れることが多い。さらに顔面の変形を本人の自覚あるいは第3者の指摘で顔面の骨折が疑われる。オフィスサージャリーで対応できる症例は鼻骨に限定した骨折であること。また,全身状態が良好であるものである。

 一方,鼻骨骨折に対するショートステイサージャリーを考慮する場合は,全身麻酔が必要であると考えられる場合であろう。ほかの顔面骨骨折を合併している症例では,止血タンポンガーゼ(後述)を抜去するまで入院を余儀なくされると考えられ,適応外と考える。したがって本稿では,比較的単純な鼻骨骨折について述べる。

参考文献

1)佐藤公則:オフィスサージャリーの適応と限界―鼻・副鼻腔領域.日耳鼻109:807-812,2006
2)平川勝洋・他:ENTNOW No7;耳鼻咽喉科外傷.鼻骨骨折.森山 寛(編).メジカルビュー社,東京,2002,pp52-57
3)鈴木正志・他:鼻骨骨折整復術.耳喉頭頸78:1043-1048,2006
4)三宅康史・他:外傷による嗅覚障害.神経内科66:373-379,2007
5)大木幹文:鼻腔通気度検査.JOHNS 20:361-366,2004
6)西山耕一郎:139鼻骨骨折.今日の耳鼻咽喉科頭頸部外科治療指針,第2版,森山 寛・他(編).医学書院,東京,2003,pp272-276
7)深見雅也:鼻骨骨折―外傷と耳鼻咽喉科.Ⅱ.鼻・副鼻腔.耳喉頭頸69:60-64,1997
8)竹中 洋:鼻出血止血術・鼻骨骨折整復術の危険度.耳喉頭頸74:61-64,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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