耳鼻咽喉科・頭頸部外科80巻5号

2008年04月発行

特集 オフィスサージャリー・ショートステイサージャリー

23．頸部リンパ節生検

著者： 河田了¹

所属機関： ¹大阪医科大学耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲：P.177 - P.183

文献概要

Ⅰ　はじめに

　オフィスサージャリー，日帰り手術，ショートステイサージャリーを比較した場合，この順番に侵襲が大きな手術ということができる^1）。オフィスサージャリーは一般に，診療所レベルで施行できる，原則として局所麻酔の手術と考えられる。日帰り手術は病院やサージセンターで行われ，主に全身麻酔で施行され，24時間以内に帰宅する手術と理解される。一方，ショートステイサージャリーは，1泊2日かせいぜい2泊3日の手術で，オフィスサージャリー，日帰り手術と比較するとやや侵襲のあるケースと思われる。短期入院や日帰り手術は時代の要請でもあり，今後ますます盛んになるものと考えられる。一方，病院（診療所）に滞在する時間の短縮は，術後の管理の面では不利であり，そのためにも確実で安定した手術準備，手技が要求される

　頸部リンパ節生検は摘出する部位にもよるが，オフィスサージャリーより日帰り手術やショートステイサージャリーに属すると考えられる。その理由として，頸部には狭い範囲に重要な神経や血管が走行すること，全身麻酔で施行するほうが安全であること，生検術を行う者（施設）とその後の治療を行う者（施設）が同一であるほうがよいこと，などが挙げられる。

参考文献

1）市村恵一：オフィスサージャリーの適応と限界．耳鼻咽喉科のオフィスサージャリー―口腔・咽頭・頸部領域．日耳鼻109：767-773，2006

2）林　伊吹・他：頭頸部扁平上皮癌の転移リンパ節診断における超音波エコーの有用性と問題点．日耳鼻106：499-506，2003

3）李　昊哲・他：超音波検査を用いた甲状腺乳頭癌の側頸部リンパ節転移の診断．日耳鼻107：1038-1044，2004

4）古川まどか：超音波断層法による頸部リンパ節の診断．JOHNS 13：895-900，1997

5）舘田　勝・他：頸部結核性リンパ節炎の確定診断・治療とその問題点．日耳鼻110：453-460，2007

6）河田　了：頸部郭清術―顔面神経下顎縁枝温存のための対応．イラスト手術手技のコツ，耳鼻咽喉科・頭頸部外科，東京医学社，東京，2005，pp411-413

7）吉村勝弘・他：良性疾患に対する顎下腺摘出術における顔面神経下顎縁枝の処理法．耳鼻臨床99：653-656，2006

8）Metory YL, et al：Wound bleeding after head and neck surgery. J Surg Oncol 53：17-19, 1993

9）海老原　敏・他：頸部郭清術の合併症．耳鼻臨床89：417-420，1996