文献詳細
原著
Auditory nerve disease 3症例の前庭機能の検討
著者: 中村雅子1 加我君孝2
所属機関: 1東京大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2東京医療センター感覚器センター
ページ範囲:P.449 - P.455
文献概要
Auditory nerve disease(auditory neuropathy:以下,ANと略す)は,純音聴力に比べ,語音聴力が著しく低下するいわゆる後迷路性難聴の特徴を示す感音難聴である。両側性に生じ,ABR(auditory brainstem response)は無反応,OAE(otoacoustic emissions)は正常に保たれている。したがって,正常な内耳機能を保持し,障害は感覚細胞と蝸牛神経のシナプスあるいは蝸牛神経そのものにあると推測されている1,2)。この疾患の危険因子として,内有毛細胞と末しょう神経機能にとって重要な遺伝子(OTOF,PMP22,MP2,NDRGI)の異常,伝染性の疾患(耳下腺炎,髄膜炎)や周産期異常(無酸素脳症,ビリルビン血症)などが挙げられている3,4)。
現在まで聴覚障害に比べ,前庭障害についての報告は少ない。今回われわれはANと診断された3症例の神経耳科学的所見について聴覚障害と平衡障害に分けて検討したので報告する。
参考文献
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