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シリーズ DPCに対応したクリニカルパスの実際―悪性腫瘍
⑥頸部郭清術
著者: 池田篤彦1 寺田聡広1 花井信広1 兵藤伊久夫1 長谷川泰久1
所属機関: 1愛知県がんセンター中央病院頭頸部外科
ページ範囲:P.491 - P.497
文献購入ページに移動クリニカルパス(以下,パスと略す)は医療管理ツールの1つとして,現在では全国の医療施設で幅広く浸透している。DPC(diagnosis procedure combination)が導入される病院が多くなっている現在において,パスを用いて在院日数を短縮する対応がなされているのも実状である。
パスは1985年頃,アメリカMassachusetts州New England Medical Centerの看護師Zander1)によって考案された。治療の流れ,術後の注意事項などを患者・医療スタッフ間で共有することができる。このことから,今までよりもより良い治療を行うことができるようになった。また,患者の疾患治療に対する理解の深まりとともに自身の診療に積極的にかかわるようになることから,医療スタッフと共通の治療目標に向き合える利点があると考えられる。さらにパスを利用してインフォームド・コンセントの一助とすることもできる。頭頸部癌は原発部位が多岐にわたり,それぞれの症例数が多くはないうえに,同一疾患であっても病期や合併症の有無などにより治療方針が症例ごとに異なる場合が多い。そのため原発部位別にパスを作成するのは困難と考えられてきた。
しかし頸部郭清術においては,大きな合併症が起こる場合は少なく,術後経過も比較的一定しておりパスの運用は十分可能である2)。郭清範囲により多彩な術後合併症の可能性はバリアンスの原因となり得るが,パスを使用する過程でバリアンスの発生は不可避であり,またそのバリアンスの分析は,医療の質の向上に重要な役割をもつと考えられる。
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