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特集 嚥下障害手術のコツ
文献概要
Ⅰ.嚥下障害の管理1)
われわれ耳鼻咽喉科医は咽喉頭や頸部などの局所を観察・評価し,治療につなげることが得意であるが,その反面,患者全体の病状を掌握するのは比較的苦手である。嚥下障害はそれ自体が病名ではなくさまざまな疾患の1病態として現れるため,その管理のみならず観察・評価する際にも,やはりその原疾患やその他の合併症などを十分に理解する必要がある。局所のみをみてしまうと,喉頭麻痺であったり,咽喉頭の知覚低下による喉頭蓋谷や梨状陥凹への唾液貯留であったり,喉頭の挙上制限などが観察されたとしても,それはあくまでも現症であり,それが今後のどのように変化(改善も増悪も)していくのか,それとも現状のまま固定してしまうのかなどがわからないと,診察が治療方針の立案につながらず自己満足なものとなってしまう。
そこで,管理の面から大切なことは治療対象となっている嚥下障害という病態が,今後,一般的にどのような経過をたどるのかという予後予測である。嚥下障害をきたす原疾患には多種多様であるが大きく分けてみると,原疾患自体が進行性で嚥下障害も増悪傾向になるもの,原疾患も嚥下障害も固定性のもの,原疾患自体は固定性で嚥下障害はある程度の治療期間を経て改善が望めるもの,原疾患が不安定で予想が立てられないものの4つになる。
われわれ耳鼻咽喉科医は咽喉頭や頸部などの局所を観察・評価し,治療につなげることが得意であるが,その反面,患者全体の病状を掌握するのは比較的苦手である。嚥下障害はそれ自体が病名ではなくさまざまな疾患の1病態として現れるため,その管理のみならず観察・評価する際にも,やはりその原疾患やその他の合併症などを十分に理解する必要がある。局所のみをみてしまうと,喉頭麻痺であったり,咽喉頭の知覚低下による喉頭蓋谷や梨状陥凹への唾液貯留であったり,喉頭の挙上制限などが観察されたとしても,それはあくまでも現症であり,それが今後のどのように変化(改善も増悪も)していくのか,それとも現状のまま固定してしまうのかなどがわからないと,診察が治療方針の立案につながらず自己満足なものとなってしまう。
そこで,管理の面から大切なことは治療対象となっている嚥下障害という病態が,今後,一般的にどのような経過をたどるのかという予後予測である。嚥下障害をきたす原疾患には多種多様であるが大きく分けてみると,原疾患自体が進行性で嚥下障害も増悪傾向になるもの,原疾患も嚥下障害も固定性のもの,原疾患自体は固定性で嚥下障害はある程度の治療期間を経て改善が望めるもの,原疾患が不安定で予想が立てられないものの4つになる。
参考文献
1)津田豪太:嚥下障害の判定と治療方針の決定.耳喉頭頸 73:661-664,2001
2)津田豪太:これからの嚥下障害治療治療体系の確立.音声言語医学 43:485-490,2002
3)津田豪太:重度摂食・嚥下障害に対する外科的治療.日独医報 46:59-65,2001
4)Shin T, Tsuda K, Takagi S:Surgical treatment for dysphagia of neuromuscular origin. Folia Phoniatr Logop 51:213-219, 1999
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