文献詳細
シリーズ DPCに対応したクリニカルパスの実際―悪性腫瘍
⑦甲状腺:papillary carcinomaの症例
著者: 小澤泰次郎1 長谷川泰久1
所属機関: 1愛知県がんセンター中央病院頭頸部外科
ページ範囲:P.565 - P.570
文献概要
医療の標準化,医療の質的向上と効率化を追求する効果的な手段として,クリニカルパス(以下,パスと略す)を導入する施設が増加している。パスの定義としてSpath1)の示した『医療チームが共同で開発した,患者の最良のマネジメントと信じた仮説』がある。つまりパスの導入により,医療従事者全体のチームによるリスク管理対策,標準的医療の提供,術前術後管理のシステム化,医療資源の節約など質の高い医療を提供できることになり,それが最終的に患者のための最適な医療を提供できることとなると考えられている。甲状腺癌は症例数も多く,術後経過も安定しているためパスを導入している施設が多い。当科においても1999年12月から導入している。
DPCとはdiagnosis procedure combinationの略で,従来の出来高払い方式とは異なり,診断群分類別包括支払い方式のことである。単に支払方式の改革だけではなく,良質な医療,効率的・効果的な医療,医療の透明化などを図るために実施されるもので,2003年より全国82の特定機能病院で導入が始まり,年々導入する施設が増加しており,当センターでも2008年4月より導入された。甲状腺癌で手術目的に入院した場合,DPCでは甲状腺悪性腫瘍手術ありと分類され,入院期間Ⅰ未満(1日当たり2,729点)は最初の5日間,入院期間Ⅱ未満(1日当たり2,017点)は6~10日,入院期間Ⅱ以上(1日当たり1,714点)は11~17日,18日以降は出来高払いとなっている。
参考文献
掲載誌情報